ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

団まりなの『性と進化のひみつ』批判

 団まりなの最近の著書『性と進化のひみつ』は。文庫本としては200ページ足らずのものですが、進化論生物学者としての彼女の語り口は面白く、ちょっと他の進化論者とは違うなという感想を持ちました。あとがきで養老先生が書いている通りです。勿論私は創造論信奉者として彼女の考え方を受け入れる事は出来ませんが。
 原核生物細胞核を持たない細菌類などの生物ですが、真核生物は、動物、植物、菌類等、身体を構成する細胞の中に細胞核を持つ生物のことです。
 団によると、まだ生物のいない地球上に、さまざまな物理的、化学的な力の作用でいろいろな有機分子が蓄積し、それが偶然に集合して生物が生まれたとあります。それが「原核細胞」です。そこには環状のDNAが存在します。
 そしてある時太陽光と炭酸ガスを有効活用する光合成細菌が出現し、猛烈に繁殖しました。ところがこの細菌は酸素を放出しますから、それを必要としない嫌気性細菌を窮地に追いやりました。そこで嫌気性細菌は融合しからだを大きくする事によって酸素から身を守りました。
 そのうちに今度は酸素を有効利用する好気性細菌が現れました。融合して大きくなった原核細胞は、最初この好気性細菌と協力していましたが、遂にはそれを自身のうちに取り込みました。その細菌こそ現在のミトコンドリアだというわけです。
 このミトコンドリアは有害な酸素を水に変え、且つアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギー源を生産する重要な細菌です。それがある為取り込んだ原核細胞はどんどん大きくなり、従来より実に千倍もの大きさになります。するとこの細胞たちは「膜」を引き込み幾つかの区画を作り、そこで特定の化学反応を行なうようになります。この区画の一つが核であり、DNAなどを含んでいます。このような細胞はもはや以前の原核細胞とは全く異なるようになりました。つまり「進化」したのです。それが真核細胞の誕生でした。
 団はこの小さな単位が集まって、より大きく複雑な単位を作り出す作用が、自然界物質の一般的性質と言っており、「階層性」というキーワードを持ち出しています。
 しかしこのより大きく複雑な真核細胞は次に「所帯を分ける」ようになります。こうして分けられたそれぞれの細胞の状態をハプロイド(=半数体)と呼び、またそのハプロイドが合体したものをディプロイド(=二倍体)と呼びます。このディプロイド細胞は、細胞同士が協同する能力が格段に上昇し、多細胞生物となります。こうして私たち人間は実に60兆個もの細胞が集まりました。このハプロイドは配偶子(精子卵子)と呼ばれ、合体したディプロイドが受精卵と呼ばれます。従って多細胞生物のこの二つの状態の行き来が、「階層」の行き来という独特な形態となります。
 団の進化論的見地からは、この階層性という概念でよく説明が出来、読む者を飽きさせません。
 これに対する創造論からの反論はAiG(=答えは創世記に)というサイトにおけるhttp://www.answersingenesis.org/articles/arj/v2/n1/serial-endosymbiotic-theoryという論文でなされています。長い論文でいちいち紹介出来ないのが残念ですが、二つだけ挙げておきます。上記細菌=現在のミトコンドリアという進化説に対するものです。
 両者は共通にリボソーム(すべての細胞の細胞質にあってタンパク質合成の場となる小顆粒<しょうかりゅう。RNA とタンパク質から成る=辞典より)を持っていますが、哺乳動物などのリボソーム(80Sと呼ばれています)と原核動物(70Sと呼ばれています>)は、構造が全く異なるという事です。また人間などのミトコンドリアゲノムには僅か37の遺伝子(蛋白質を規定するものは13)しかありませんが、りケッチアなどの細菌は蛋白質を規定する遺伝子が834個も知られています。この詳しい反論をしている上記論文(英語)もまた面白いです。
 団の階層性進化説など吹き飛んでしまうでしょう。進化学者・創造論学者共に歴史で一回だけ生じた事柄を目撃していません。ですから再現性はありません。ただ聖書の創世記にのみ、原核細胞生物も真核細胞生物も「その種類に従って」創造されたという明確な記事があります。それを受け入れるかどうかは、「信仰」にかかっています。