ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

なぜノーベル医学生理学賞が倫理的に問題ある体外受精技術を生開発した研究者に与えられたのか

 今年のノーベル医学生理学賞は英国の名門ケンブリッジ大学名誉教授のロバート・エドワーズ氏に与えられました。しかしその受賞理由は何と「体外受精技術の開発」でした。
 結婚した夫婦が、どちらかの原因で「不妊」の為に子どもが出来ないという問題は、聖書の時代からも存在していました。
 1950年代からエドワーズ博士は、不妊の夫婦の為に「体外受精」(英語で略してIVF)治療法が役に立つのではないかというビジョンを持ち、研究を進めていました。他の同僚たちが試験管の中で(インヴィトロという言葉は、試験管内でという意味と、体外でという意味の二つがあります)、ウサギを用いて卵細胞に精子を加え、受精に成功していた事を見ていたからです。
 ところがこのような人間の卵子を体外に出すという手法に対しては、当然英国宗教界は反対の声を上げていました。カトリック教会も然りでした。その為エドワーズ博士は研究に必要な公的資金提供を受ける事が出来ず、大変苦労したという事を、彼の同僚が証言しています(米国PBSやサイエンスデイリのサイト)。朝日の報道でも「当初『生命の誕生に人が手を加えていいのか』と大論争を巻き起こした」とあります。
 従って博士は最初研究者たちの細々としたサポートで研究を続けるしかありませんでした。1969年試験管内で初めて成功させたものの、その受精卵は順調に生育しませんでした。その後の紆余曲折を経て、1978年レスリー・ブラウン、ジョン・ブラウンの夫妻が、エドワーズ博士と共に研究していたクリニック院長のパトリック・ステプトー氏を訪ね、体外受精治療法を受ける事にしました。夫妻は9年間も試みながら失敗したとの事です。
 エドワーズ博士はステプトー医師と協力して帝王切開を行ない、遂に世界で初の体外受精児ルイーズ・ブラウンを誕生させたのでした。ちなみに日本では1983年に東北大で始めて体外受精児を誕生させています。
 二人はケンブリッジ・バーンホール・クリニックを設立し、本格的な体外受精治療法を始めました。1986年までに世界の半分を占める千人の子どもがこの方法で誕生しました。今日世界中でこの治療法は確立しているとの事です。
 しかし朝日によれば、日本産婦人学会の倫理委員である東大の久具宏司講師は、「不妊カップルに福音をもたらした一方、卵子提供や着床前診断など、実態がどんどん進み、受け入れられるのか、社会のコンセンサスはできていない。30年以上たった今も、大きな課題は残ったままで、手放しで喜ばれる状態ではない」と話しています。
 まさにそこが問題なのです。聖書によれば「子どもたちは主の賜物」(詩127:3)であり、神の摂理に基づく受精を拒否し、自分勝手に人工授精を行なう事は、神への背馳です。いずれその実施に対して、神からの裁きがあるでしょう。不妊には神の何らかの深い意図があるはずというのは前に述べました。