ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

父親の肥満が娘に影響するのか

 10月21日のネイチャー誌電子版(英語)には『肥満の父親が娘の健康に影響を与える』という題の論文が載っていました。
 現在生物学の分野では「エピジェネティック」(=後成的な)という言葉がよく使われるようになりました。http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt026j/0305_03_feature_articles/200305_fa01/200305_fa01.html のサイトで伊藤裕子さんという研究者が、前成説、後成説について簡単に説明してくれています。「前成説によると生物は最初から潜在的に存在した性質が展開されて個体になるとされ、後成説によると生物は発生の過程で順次、内的および外的な影響を受けて個体になるとされた…現在では「エピジェネティック」は、ゲノム自身の変異以外のメカニズムで遺伝子の発現に影響を与える現象を指している。エピジェネティック研究により遺伝子発現の制御メカニズムが解明されることは、遺伝子発現に関わる様々な分野の研究の進展を促進することが予測される」。
 この説明によりますと、父親の状態はDNAの暗号自体には何らの変化も与えずに子孫に受け継がれるという事になります。
 英語のサイトを毎日見ていますと、どこかで必ずと言ってよいほど「肥満」に関する論文を見つけます。研究者たちはその原因や結果を懸命に調べています。何しろどの年齢層においても肥満が蔓延し、やがてやっかいな糖尿病になってしまうからです。
 これまでの研究では、母親が貧しい食事の為に肥満になっていると、子孫の物質代謝に悪影響を与え、肥満の危険性を増加させている事が十分に立証されているそうですが、今回父親の場合でもそういう事が起こり得る事が示されたようです。
 研究者たちはねずみで実験を行ないました。脂肪分を多く含む高カロリーの食事を与えた雄のねずみと、普通の食事を与えた対照群の雄のねずみを比較してみたわけです。前者は当然にも肥満から糖尿病になるケースで、後者は普通の健康状態を保っています。
 新しい発見は前者の肥満ねずみの雌の子孫を調べた結果分かりました。この雌の子は膵臓の「島」が萎縮しており、そのβ細胞で産生されるインスリンの量が少なく、糖のレベルが上昇していました。DNA暗号は変化なくそのままなので、遺伝的発現の変化が「後成的」である事が示唆されました。
 遺伝子の発現はDNAのメチル化という現象で押さえられますが、肥満の父親の娘は対照群に比べ、およそ25パーセントの値でした。従って娘に肥満が発生しやすいという事でしょうか。ネイチャー誌では、そう断言するにはまだ早いというコメントも見られますから、まだこれからの研究が待たれるといったところです。
 ところで聖書では、父親の行為が子に結果を及ぼすという「ことわざ」が、エゼキエル18:2にあります。「あなたがたは、イスラエルの地について、『父が酸いぶどうを食べたので、子どもの歯が浮く。』という、このことわざをくり返し言っているが、いったいどうしたことか」。ここで「酸いぶどう」とは、心の罪の事を象徴的に言っているので、父親の犯した罪が、子どもに影響を与える、つまりそうした父親の子に罪が発現するという運命論、連帯責任論が「ことわざ」として、イスラエルの民の間でまかり通っていました。上記父親の肥満が特に娘に影響を与えるという推定と同じようなものです。
 しかし神はそうではないと言われます。「罪を犯した者は、その者が死に、子は父の咎について負いめがなく、父も子の咎について負いめがない。正しい者の義はその者に帰し、悪者の悪はその者に帰する」(エゼキエル18:20)。つまり子は誰でも親の罪という遺伝子を受け継いでいますが、いわばそのメチル化が外れ、思春期に罪が必ず発現する、という事を主である神が明確に示しておられるのです。人は誰でもその発現した罪で「死にます」。