ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ジャレット・ダイアモンドの『人間はどこまでチンパンジーか』を読んで考えた事

 ジャレット・ダイアモンドと言えば、朝日新聞11月7日号のゼロ世代の50冊の中で推薦されている『銃・病原菌・鉄』という本が有名で、今も良く売れているそうです。ピュリツァー賞受賞作、大冊ですが、私もそのうち図書館で借りて読もうと思っています。
 この著者には別に『人間はどこまでチンパンジーか』という本があって、1993年にその翻訳が出ています。これも大冊で翻訳された本文だけで500ページ以上もある、ハードカバーの重い本です。
 翻訳者が長谷川真理子・寿一氏という事で、勿論ダイアモンド氏の進化論的探求に共鳴したからこそ手がけたのでしょう。
 特に翻訳者あとがきによると、ダイアモンド氏の第一、第二、第三チンパンジーという、3種のチンパンジーの物語が第一章に載っていて、それが大いに首肯される事となって、世に出されたようなものです。
 しかしこの本は1993年という時点では、まだヒトゲノム解明もなされておらず、最近の画期的成果であるジャンクDNA(=がらくたDNA)が,実はがらくたではないという事実は、当然盛り込まれていません。ちなみに図書館では「お蔵入り」で、そこから出して来てとの事ですから、もう著者の進化的主張は通らない、古びた廃棄すべき仮説という印象を抱きました。
 たとえば「チンパンジーの遺伝子は人間の遺伝子と99・9パーセント同じで、人間とチンパンジーの違いは、ほんのひとにぎりの遺伝子によるものだということ…」という表現などがそうです。しかしもう少し後のほうで著者は分子時計を利用した系統樹を作成し、第一にコモンチンパンジー、第二にピグミーチンパンジーを置き、その下に第三のチンパンジーとしてヒトを据えています。そして「コモンチンパンジーおよびピグミーチンパンジーとヒトとのDNAの違いはおよそ1・6パーセントで、私たちは、DNAの98・4パーセントを共有しています」と言っています。第四のチンパンジーはゴリラで、これとの差は2・3パーセントと述べています。だから「チンパンジーにもっとも近縁な動物はゴリラではなくて人類なのです」という事になります。それ故「私たちは三番目のチンパンジーなので」すとの結論を強調しています。そこで著者は進化論の分類でヒト属属名のホモは、一種でなく三つあって、その三番目としてホモサピエンスとしてのヒトが来るとし、「チンパンジーはヒトだった!」という見出しを掲げています。
 現在生物多様性という事が重視されています。チンパンジーも例外ではなく、医学的実験で殺すのは、チンパンジーの「人権」に関わる事だと著者は主張します。そしてこの本で最も印象に残ったのが、次の言葉です。「…逆の立場から言えば、現在チンプを使って研究が行なわれている病気にかかっていま死にかけている子どもを持っている親に、その子よりもチンパンジーの方が大事だということを、どのように説明したらよいのでしょう?…」。
 万物の霊長としての人間を貶めるこの発言は、私たち創造論者として銘記しておくべきでしょう。訳者の進化論信奉者長谷川氏の名も。
 この日記で何度も主張している事ですが、創造の六日目に神は「神は、その種類にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた」(創世1:25)のです。そしてデザイナーとしての神は、或る程度共通の構造を持たせながら、決定的な違い(例えばダイアモンド氏も不思議がっている当初からの複雑な言語)を持った人を、その後に造られました。言語進化の欠けた環など存在しません。