ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

真の「預言者」石橋克彦氏

 既に触れましたが、地震学者で神戸大学名誉教授の石橋克彦氏が、岩波の雑誌『世界』で「まさに『原発震災だ』」という題の下、論考を寄せています。
 石橋氏は1997年の岩波『科学』誌で初めて「原発災害」という造語を用いた事で有名です。この科学誌における論文は、PDFファイルとしてネットから自由に閲覧する事が出来ます(http://www.iwanami.co.jp/kagaku/)。
 今から14年前の論文とはいえ、内容は実に新鮮です。多少専門用語があるにしても、私たち素人でも十分読んで理解出来ます。この論文では特に中部電力浜岡原子力発電所付近での原発災害を想定しています。直下に走る断層から実際M8級の巨大地震が発生した時の災害状況について、想像力を巡らし論考を進めています。ですから今回の福島沖(勿論仙台沖でもあります)日本海溝へのプレート沈み込み地帯近傍における大地震への直接的な言及はないものの、まさに浜岡以上のM9大地震が生じてしまった事になります。
 それゆえ石橋氏は今回の岩波『世界』誌2011年5月号において、福島原発災害発生に対し地震学者として「痛恨の極みである」と述べています。
 これまで石橋氏が一介の地震学者として手をこまねいていたのかと言いますと、とんでもない事で、1997年以後も活発に原発災害の危険性を警告する発言を繰り返していました。驚くべき事にいわゆる原発推進派は、この説得力ある石橋氏の追及に対して全く耳を傾けず、原発反対派のレッテルを張り白眼視し続けて来ました。私の記憶では石橋氏はそうした事もあり、長らく東大助手の地位に留まり、神戸大学に教授として迎えられたのではないかと思っています。故宇井純氏が公害論で東大助手以上に進めず、沖縄大学教授として迎えられたのと同じではないかという想定です。
 そこで石橋氏の「世界」論文に戻りますが、冒頭で「日本の海岸線を縁取る五十基以上の原発の地震災害が日常的光景になるといってもよく、原発災害がいつ起きても不思議ではない」と「予言」して来た事が、「こんなにも早く、東北地方太平洋沖地震(三月一一日、M9.0)による東電福島第一原発一〜四号機の大損傷によって発生してしまった」と、実現の早さに驚愕しています。
 それを見ると、石橋氏がまさに聖書時代の「預言者」に相当するのは間違いありません。彼は絶対「偽予言者」ではありません。実現したからです。石橋氏は不遜に語ったのではなく、独善的でもなかったのです。
 「預言者が主の名によって語っても、そのことが起こらず、実現しないなら、それは主が語られたことばではない。その預言者が不遜にもそれを語ったのである。彼を恐れてはならない」(申命18:22)。
 石橋氏の予言的中は、不遜な原発推進派、「原子力安全神話」運動家らに対し鉄槌を下したものと言わざるを得ません。