ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

高濃度汚染水の海への放出とその影響

 2011年4月23日、東電は2〜6日までの放射能汚染水の海への流出で、その総量が520トンに達し、そこに推定4700兆ベクレルの放射能が含まれていたと発表しました。ちなみに1メガとンの核兵器爆発では6300兆ベクレルが生じるそうです。
 この中には半減期が30.17年という長さのセシウム137が含まれています。セシウム同位体が4つ知られており、通常セシウム133が存在比として100%を占めていますが、核分裂生成物の中にセシウム137が含まれており、今回の4700兆ベクレルのうち1000兆ベクレルが流出したと上智大学の広瀬勝巳教授は推定しています(朝日4月23日記事より)。
 このセシウム同位体は崩壊過程でβ線γ線を出す事が知られています。そのうちのγ線は無差別に飛び出す為、危険で有害なものとされています(桜井弘氏の著作『元素111の新知識』より)。
 原発からの体外被曝で取り込まれたセシウム137は骨や筋肉などに蓄積します。一方空中や水中に残留したセシウム137は鼻や口から体内に入り、微量のものが体内で放射し続ける現象も生じます(これを「体内被曝」と呼びます=肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被爆の脅威』)。
 この体内被曝=内部被爆では、排出されるまでの100〜200日の間、β線γ線がずっと体内で放射され、体細胞を傷つけます(ウイキペディアより)。ところがこの内部被爆に関する研究が難しく、被害に関し微量の放射線による内部被曝では一切無視出来ると主張する原発推進派と、いやそうではないと長期にわたる被害調査からそれを否定する反原発派の間では、今も激しい論争が続いているようです(『内部被爆の脅威』より)。
 その場合原発推進派が拠り所としているのは、阪大名誉教授近藤宗平氏の著書『人はなぜ放射線に弱いか』(講談社ブルーバックス)等であるようです。図書館で借りて読みましたが、内容は題とはずれていて、α線β線を出す内部被爆について一切触れられておらず、微量であるなら無害であると結論付けています。
 でも上記肥田氏らは、或る一定量以下(閾値)では、全く危険性がないという点、及び自然放射線・人工放射線の間には、人体に与える影響は全く同じという点に、強く反論しており、統計学者J・M・グールドの出した報告に倣って、セシウム137の降下線量を1960〜1998年まで調べて見ました。
 その結果チェルノブイリ事故が起きた1986年からおよそ10年後、青森、岩手、秋田、山形、茨城、新潟に住んでいた女性の乳がん発病と死亡者数が、「きわめて高い相関」性を持って示されたと推定されました。勿論著者らはそれが原因とは断定していませんが、低線量内部被爆による危険性を知る上で「一つの参考資料にはなり得る」と述べています。
 このセシウム137の海洋汚染への影響は、英国セラフィールドで起きた事故での海洋流出事例があります。1975年で年間5230兆ベクレルが海へ放出されたと推定されますが、その深刻な海洋生態系への影響は今一つ明らかではありません。『バレンツ海生態系における人工放射性核種含量の一定な長期変化』という英文論文もありますが、むしろ否定的な見解です。福島における短期間での大量海洋放出の生態系に与える影響は、今後の研究が待たれます。
 聖書でイエス・キリストは「外側から人にはいって、人を汚すことのできる物は何もありません。人から出て来るものが、人を汚すものなのです」(マルコ7:15)と言われました。これは霊的な事柄です。しかし原発から出て来る放射能が、人を汚すもの」という物質的な事柄でも当て嵌まるところがあります。つまりそうした海洋への汚染水流出を決断した東電首脳らは、周辺諸国である中国や韓国などの人々の心に大きな脅威を与えたという事です。