ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

トリチウムと無意味な除染

 「川はみな海に流れ込むが、海は満ちることがない。川は流れ込む所に、また流れる」(伝道1:7)。
 まだ右手首が痛んでおり、更新も仲間の皆様のブログ閲覧も自由に出来ない状態です。
 体験から得た除染論を書こうと思っていますが、まずは天天日記のmm3493さんの記事を読んで衝撃を受け(http://d.hatena.ne.jp/mm3493/20150728)、そこに登場する元外交官村田光平氏が挙げているトリチウムという放射性元素をずっと調べていました。
 トリチウム(H3)は水素の放射性同位体で、β線を放出してヘリウム3というものに変化します。その半減期は12.3年です。ちなみに今除染の主な対象となっているのは、放射性セシウム137ですが、その半減期は30年です。最近の知見では、前者の生物における致死率は後者の2〜3倍にもなるという毒性の強い放射性物質である事が分かりました。
 トリチウムhttp://www.aomori-hb.jp/ahb3_5_4_07.htmlによると、こうあります。「原子力発電所では燃料棒内で起こる核分裂反応や冷却水に含まれる不純物などが放射化されることにより生成します。また再処理工場では燃料棒を切断した際に、核分裂反応でできたトリチウムが処理設備内にでてきます。トリチウムは主に水(H2O)の水素(H)の1つと置き換わってHTOの形で存在しますが、トリチウムからなる水(HTO)だけを分離することは難しいため、再処理工場から気体廃棄物や液体廃棄物として環境中に排出されます。」(*このサイトの公益財団法人環境科学技術研究所は文科省の所管である事に注意)。
 要するにトリチウムは酸素と結合して、水中でHTOの形で存在し、普通のH2Oと分離する方法がない為、福島第一原発でも汚染水として垂れ流すしか方法がないという事です。
 それが2013年8月の東電発表による試算では、2011年5月から2013年7月まで、地下水を通して海に放出されたトリチウムは、最大40兆(最小20兆)ベクレルにも達したとの事です。しかし驚いた事に2011年3月11日以前でも、およそ20兆ベクレルのトリチウムをずっと海に流していたという事実も、その時出ました。この桁違いの量は、私たちには想像出来ません。
 そして小出元京大助教は、既に2011年7月段階で「海水が蒸発して雲になれば、それがまた雨になって落ちてくるという事ですので、もちろん循環して陸にもまた戻って来ます」と語っています。

 ここで水の循環について、以下のサイト(http://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/river/enc/genre/06-sou/sou0302/html/07kire/07kire_02.html)の画像を参照すると、次の通りです。海に流れ込んだ大量のHTOは蒸発して雲となり、それが陸地で或いは雨、或いは雪となって落下し、それが地下水を通して、又は直接川に注ぎ込み、再び海に達するという事です。
 それが除染作業に行った福島は勿論、2011年3月21日の放射性雲の降雨による落下で、柏・松戸そして東京葛飾区の金町浄水場などを汚染した事は間違いないでしょう。他の放射性核種は測定出来たものもありますが、トリチウムに関しては雨水との区別が出来ず、東京の井戸、水道の飲み水に紛れ込んだHTOを飲んだ人は多かったはずです。否、今でも大量のトリチウムが福島第一で生成され、汚染水として海に流れ込んでいる以上、恒常的に飲料水として飲んでいる人は多いと思います。
 東電は炉心溶融物(CORIUM)とトリチウムの事はひた隠しにし(五輪の事もあるから)、今のところうまくいっているようです。しかしその陰で日本政府はロシア国営企業「ロスアトム」に、汚染水からトリチウムを除去する為の試験的なプラント設置を依頼したとの事です。来年早々です。しかしそれがうまく作動するのかどうかは、全く未知数です。
 トリチウムについてこんなことを考えていて、ふと思ったのは、福島に除染作業に行った時の事です。作業はよほどの事がない限り雨の日も行います。それは主として放射性セシウムの除染という事でしたが、雨の中で何の事はない、もっと毒性の強い、トリチウムと酸素の結合した雨水=HTOを浴びていたのではないかと。ここにも除染が全く除染になっていないという私の推定は成り立つのではないかと思いました。放射性セシウムの除去を前面に出し、トリチウムの事実を隠して広域避難者たちを福島に戻す、これも東電の犯罪ではないかと考えている次第です。