ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

英国欽定訳聖書から400年

 1611年の英国はジェームズ王(1世、在位1603〜1625年)の時代でした。
 英国の教会はずっとローマ・カトリックの信仰を継承して来ましたが、世界史の教科書にもある通り、国王ヘンリー8世が自分の離婚を認めないローマ教皇と対立し、いわゆる宗教改革が始まりました。彼は1534年の首長法で、国王こそ英国内教会の首長であると宣言し、ローマ・カトリック世界から離脱しました。その後若干の紆余曲折はありましたが、1559年正式にローマと分かれ、英国独自の教会体制が確立しました。それが英国国教会です。
 1603年にジェームズ1世が即位すると、国教会の典礼で用いる為の標準的な聖書翻訳を学者たちに命じました。翌年から6つの委員会において47人の翻訳者たちが作業を開始しました。それまでローマ・カトリックが採用していたラテン語ウルガータからの翻訳ではなく、旧約のヘブル語、新約のギリシャ語と、直接原典からの翻訳に取り組んだのでした。その際既に初の英訳新約聖書を完成させていたウイリアム・チンダルの版も大いに寄与しました。そして遂に7年後の1611年、キングジェームズ訳聖書又は欽定訳聖書が刊行されたのでした。
 それは今の英語とはだいぶ異なる部分があり、シェイクスピアの著書のように古い文体でしたが、非常に格調深く、英国の言語や文化に多大な影響を与えたのでした。その後は現代英語に沿ったいろいろな翻訳版が出ましたし、古い文体を改めた新欽定訳聖書も出版されています。
 でも当時の文法などを知っておけば十分に読めるので、私も愛用していますし、衰えたとはいえまだ信仰大国であるアメリカでは、今もこれを採択している教会が多くあります。
 2011年5月2日に欽定訳聖書は初版刊行から400年を迎えました。ジャパン・タイムズでは、ロンドンのAP通信からとして、「キング・ジェームス聖書は400年経過しても、なお達者である」といった題で記事が寄せられていました。添えられた写真の解説部分の先頭に「文学の傑作」と書かれています。文芸史上画期的な出来事という文句も出ています。
 それほどに英語圏では400年間もずっとベストセラーであったという出来事ですが、日本では全く顧みられていません。東日本大震災関係の記事が満載で、それを載せる余地がないのかも知れませんが、先進国の中でキリスト教信仰としては最低のレベルという現実では、けだし当然なのかも知れません。
 進化論の新発見ではどんな小さな記事でも採択する朝日新聞がそれを報じないというのは、誠に残念です。
 でもこれから欧米世界へ旅立とうとする若者たちへ。首脳会議などではこの欽定訳の英語からの引用が飛び交うので、未信仰であろうと必読の本であると言いたいです。