ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

現代の豚に与える餌とは

 中村靖彦著『日本の食糧が危ない』を読みました。コメ作り農家の問題とか農地そのものの問題などを著者は滔滔と述べていますが、正直言ってあまり面白いとは思いませんでしたし、難解ですっと頭に入らない事柄も結構あって、読み終えるのに時間がかかりました。日本の食糧自給率がどれ位で、どれほど危機的状況にあるのを一番知りたいと思ったのですが、この本からはあまり理解出来ませんでした。
 ですから興味を引いたのは僅かな箇所だけでした。特に現代の養豚場で使われている餌の事くらいが頭に残っています。
 その餌ですが、これまでの日本の家畜の餌の主力はとうもろこしでした。ところがそれは自給を放棄した為、輸入に頼らざるを得ません。そこで飼料用のコメが開発されて来ましたが、そのほかに環境に優しい餌=エコフードというものが、養豚場などで徐々に浸透しているようです。
 これはどういうものでしょうか。著者は千葉県の旭市を訪ね、或る農場の経営者から詳しい話を聞いています。
 それによりますと、餌の為に使われているのは食品の「残さ」というものだそうです。つまり「パンの耳や屑、生クリーム、うどん、チョコレート、日切れの納豆、牛乳…冷凍のご飯などで全て人間が食べることができる食品である。賞味期限が切れたり、規格外の製品だったりするが、いわゆる食べ残しではない」という説明がありました。それらは腐らせるわけには行かないので、食品産業からの運び出しに保冷車が使われているとの事です。
 すると私がいつも夕方のスーパーで狙っているものと同じようです。スーパーでも温度管理はちゃんとされていますから、賞味期限切れのものが安くダンボールなどに入っているのを適宜選んで買って来ますが、胃の全くない私でもそれらでおなかを壊した経験はありません。
 中村氏によればそうした食品残さは農場内の処理場で液状に処理されるそうです。それだと飼料としての効率がよいそうです。ですから豚はノズルに口を寄せてチュウチュウ液体を吸うという事になります。カロリーは高そうなので、豚は肥えてゆくのでしょう。私が食べるものより上等です。
 豆乳を取ったあとのしぼりかすであるおからは腐りやすいので、改良し用いています。これはスーパーではめっきり見かけなくなりました。
 そのようなエコ飼料の事を考えていた時、ふと思い出したのが、聖書の有名な放蕩息子の譬えの場面です。
 彼は生前贈与を受けて遠国に旅立ちましたが、その全てを放蕩に使い果たしたてしまい、さらに大飢饉という試練も襲って来ました。食糧難に直面しました。そこで養豚業を営んでいる人のもとに身を寄せたところ、豚の世話をさせられました。腹ペコの彼にはきつい仕事でした。そこで食べたいと思ったのが、豚の飼料である「いなご豆」でした。
 「彼は豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいほどであったが、だれひとり彼に与えようとはしなかった」(ルカ15:16)。 
 ギリシャ語でケラティオーンと呼ばれているものは、ここしか出て来ないので、詳しくは分かりませんが、何らかの豆類の殻だったようです。豚を肥えさせるには十分だったと注解書にありますから、勿論人にも優しいものだったでしょう。しかしその養豚業の人は意地悪で、空腹の放蕩息子の腹を満たしてあげる事もしませんでした。彼はこのままでは疲労困憊の中で餓死するしかありません。でもその時ふと、故郷に居る父親の事を思い出し、思い切ってUターンし救われたのでした。勿論聖書時代でも「いなご豆」を液状にする事は出来たと思いますが、わざわざそうしなくても豚は肥えていたでしょう。
 今の豚は「幸福」です!