ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

北海道で羊飼いとして生計を立てている田中孝幸さん

 8月11日の朝日新聞夕刊には、北海道美深町で羊の牧場経営に取り組んでいる田中孝幸さんの事が紹介されていました。
 田中さんは高校卒業後長らく日本電信電話公社(現NTT)で勤務し、保守点検業務に励んでいましたが、35歳を迎えた或る日、私も愛読書であった「田舎暮らし」の本を見て、将来羊飼いになる事に憧れました。それからは会社の長期休暇を利用して、全国の羊牧場などを見学し、その経営のノウハウを勉強しました。分かって来たのは、羊の牧場経営から安定した収入を得るのはかなり難しいという事だったと思います。単に自分たちだけが楽しんで生活出来ればというのであれば、私も茨城の田舎で農家の真似事をし、毎年夏は母との二人だけの生活で食べきれないほど多くの有機野菜を収穫した事があります。でも実際経営で利益を挙げる為には、かなりの出費を要しますし、何より身体が丈夫でないと長持ちしません。それに車の運転も必須です。
 田中さんはそれでも「羊飼いになりたくて」必死にお金を貯め、48歳で退職してから夫婦で北海道へ移住しました。しかし最初は良い土地が見つからず、地元の酪農家の所で働きながら探し続けました。そしてほぼ4年前に今の美深町にある原野を借りる事が出来たので、夫婦で必死になって開墾しました。
 その頃既に羊飼いとして羊を育て、その肉の販売、羊毛の販売を行うのは困難と考え、羊乳チーズの製造販売の為試行錯誤を重ねました。羊肉や羊乳チーズは私の住む都市でもあまり流通しておらず、食べたいと思っても手に入らないくらいですから、田中さんもしばらく赤字の経営が続きそうです。でもその間羊の頭数も増え、まだ黒字に至らずとも、少しづつ収入は増えているそうです。一人で見られる羊はおよそ20頭ですが、羊乳チーズは珍しいと思われますので、軌道に乗れば将来順調な経営が可能でしょう。ネットでもそのチーズの販売を行っています。私のような貧乏人には少し高過ぎると思いますが、その味は是非覚えたいと考えています。「幸せそうな羊の姿に癒される気がした」という田中さんですが、そのまなざしは暖かいものがあります。
 そんな事を考えながら、聖書時代の牧畜業に心を馳せました。当時羊は大切な家畜だったからです。何よりその羊飼いと羊は、私たちの救い主イエス・キリストとそのしもべである聖徒たちのひな型となっています。
 「わたしは良い牧者です。わたしはわたしのものを知っています。また、わたしのものは、わたしを知っています」(ヨハネ10:14)。
 「あなたがたは、羊のようにさまよっていましたが、今は、自分のたましいの牧者であり監督者である方のもとに帰ったのです」(ペテロ第一2:25)。
 田中さんは良い羊飼いですが、その体力も飼う羊の頭数も限りがあります。しかし救い主イエス・キリストは永遠に生きていて、今も迷える羊たちを捜して救いに導いておられます。私たちは自己の魂の牧者である方のみもとに帰るべきではありませんか。