ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

パレスチナ国連加入問題ー引き裂かれた米国ユダヤ教親子

 2011年9月29日のタイム誌(英文)に、「なぜイスラエルに関する親の見解を共有する若い米国のユダヤ人たちが少なくなっているのか」といった題の小論が載っていました。書いたのはダーナ・ゴールドシュタインという人です。
 事の発端は勿論イスラエルパレスチナとの両者平和協議が行き詰まり、パレスチナ側が直接国連に独立国家としての加入を申請した事です。世界中で賛否両論の意見が飛び交っていますが、特にイスラエルに強い影響力を持つ米国は、もし国連で採決が行なわれれば拒否権を行使すると言明しています。ニューヨークを訪れたパレスチナ自治政府アッバス議長に対して、オバマ大統領がそう断言しています。あくまでイスラエルパレスチナの当事者同士での話し合いで解決すべきだという事でしょう。
 このような事態に対して米国在住の若いユダヤ人たちとその親たちはどう考えているのでしょうか。実はこの小論の冒頭に出て来る親子は、名前が同定出来ませんが、たぶん後のほうで出て来るベンジャミン・レスニックの事だと想定しておきます。彼は高圧的なイスラエルに対するパレスチナ人の失望と、国連に訴えた心情が良く分かります。そこで今度の国連加盟問題では、若い米国ユダヤ人とその親たちがどうして異なる反応を示すのかという点について、論文に取り組んで来ました。その為彼の母親は「怒りでぶるぶる震えています」。息子が幾ら冷静に注意深く論じていても、「あなたがうるさくイスラエルの批判をするので、私は極めて感情的になってしまい、ひどく気分を害しているわ」と言っています。息子は2006年のレバノン侵攻、2009年のガザ攻撃、イスラエル公民権運動について厳しく書いたので、罪悪感と悲しみの感情が入り混り、喉から飛び出しそうになりました。それまではニューヨーク郊外の自宅で幼い日々を過ごし、親から聞かされてきた如く、当然のようにイスラエルを支持していたからです。
 母親はユダヤ教の歴史で修士号を獲得し、大きなユダヤ人の会堂で進行役も買っていました。ボランティアでイスラエルキブツ(*農業共同体のようなもの)に行った経験もあります。ナチスドイツの大虐殺を生き延びた彼らが、「乳と蜜の流れる地」イスラエルで、見事に実を結んだ有様を目の当たりにしています。
 しかし息子はそこで締め出されたパレスチナ人たちの事は何も聞いていませんでした。大学に入ると様々なアラブの人との接触がありましたから、初めてパレスチナ人がひどい目に会っているか理解出来たのです。また初めてイスラエルへの旅を経験した事も、その理解に拍車をかけました。それで今回両者の関係についての論文に取り組み始めたわけです。いろいろ調べた結果、35歳以下の米国ユダヤ人たちの40パーセントが、イスラエルは別の人々の土地を占拠していると思っている事が分かりました。また30パーセント以上は、イスラエルの行動を恥ずかしく思っていると報告したそうです。
 これでは若い米国ユダヤ人と、その親たちとの亀裂は深まるばかりです。そこで思い出したのが聖書でイエス・キリストが言われたみことばです。
 「わたしが来たのは地に平和をもたらすためだと思ってはなりません。わたしは、平和をもたらすために来たのではなく、剣をもたらすために来たのです。なぜなら、わたしは人をその父に、娘をその母に、嫁をそのしゅうとめに逆らわせるために来たからです(マタイ10:34−35)。
 確かに「子どもたちよ。すべてのことについて、両親に従いなさい。それは主に喜ばれることだからです」(コロサイ3:20)とありますが、信念に関しては、子は子、親は親で分裂があってもやむを得ない事です。今回の動きからその事を痛切に思い知らされました。