ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

小西行郎著『子どもの脳によくないこと』はこれから子どもを産み育てようとする親に有益な本です

 私は生涯独身で過ごした為(母の面倒見で機会がありませんでした)、障害を持った妹の子どもを多少みてきた他は、子育て体験ゼロです。
 しかしそうした問題も広く扱わなければならない立場にいる為、多少とも関連する本はざっと読んで来ました。例えば松田道雄氏の『育児の百科』とか…。
 今回新聞書評欄でも好評な上記の本を図書館で借りて読み、聖書と照らし合わせながらなるほどと思いました。子育てに不安を抱いている親(又は親になろうとしている人々)には、きわめて有益な本です。
 小西氏は京大医学部出身、同じ医者の奥様との間に4人の子どもがいます。「日本赤ちゃん学会」を立ち上げ、現在も小児科医として活発な活動と研究をしています。ですから特に赤ちゃんの行動観察の鋭い人です。
 核家族化した日本の社会では、親が子育てをどうしたらよいかと深刻に悩んでいるようです。そうした中、小西先生はこの本で適切な助言をしています。
 例えば出産後すぐに赤ちゃんをお母さんの素肌の上に抱っこさせるカンガルーケアという方法がはやっているそうです。それは親子の絆を深める為という事で急速に普及しているようですが、小西先生はそれに異論を唱えています。まずそれは危険で赤ちゃんを障害児にさせたり、死亡させる事があるそうです。またこれによって肌と肌のふれあいが大切だという説に対しては、本来親がそうするべきではなく、赤ちゃんがそれを求め、母親がそれに応答するという手順が大切だと説いています。そうした親の勝手による育児の試み、早期教育といったものが赤ちゃんの為に決して良くないと警告している箇所は、この本の至る箇所にあります。
 この本の圧巻は育児の最終的な責任が大黒柱としての父親にあるという主張です。あまりに母親ばかりが子に過干渉になっている中、父親の存在は影が薄いです。しかし社会生活をまともに送れる子どもに育てる為には、ここぞという時に父親が出て来て、「叱ってはダメ、ほめてそだてろ」という風潮に対して「対立する主張(アンチテーゼ)」を前面に押し出さなければならないという事です。他の子へのいじめ、喧嘩、諸々の悪さには、断固カミナリオヤジとしての立場を採らなければならないのです。時には「バッチーン」と叩かなければなりません。それは「虐待」とは関係ありません。もし父親不在の家庭なら、私たちの時代がそうであったように、近所のおじさんやおばさんがその役を引き受けるべきです。他人の子の理不尽な行動に対しては、どんどん叱る事の出来る世の中を取り戻さなければなりません。世の若い親は小西先生のこの言葉を肝に銘じて欲しいと思います。
 ところで小西先生の本よりもずっと古い聖書でも、実は同じ事が書かれています。
 「むちを控える者はその子を憎む者である。子を愛する者はつとめてこれを懲らしめる」(箴言13:24)。
 「子どもを懲らすことを差し控えてはならない。むちで打っても、彼は死ぬことはない」(箴言23:13)。
 「むちと叱責とは知恵を与える。わがままにさせた子は、母に恥を見させる」(箴言29:15)。これは父についても言えます。