ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

執拗に祈願してレスパイトケア(小休止ケア)事業の補助額を引き上げさせた医師高橋昭彦さん

 2011年12月2日の朝日新聞夕刊連載のコラム「自宅で病気と向き合う」の七回目は、「親だって休みがほしい」という題で、宇都宮にあるレスパイとケア施設を運営する小児科医高橋昭彦さんの事を紹介していました。
 レスパイトケアという言葉は初めて聞きます。レスパイトは「小休止」という意味の英語単語で、介護に疲れた親たちを休ませ、明日への活力を養ってもらうために、在宅患者を病院などが一時的に預かる「家族のためのケア」の事という説明が載っていました。
 私の場合介護度5の母親を自宅でケアしていた経験があります。自分自身が手術後の切開箇所における腹壁瘢痕ヘルニア(表皮の下の筋肉が破れ、腸が飛び出している状態)を患っている為、重い負荷のかかる仕事は出来ず、身体障害者ならぬ身障者となっているので、やはり疲れてしまいます。それで時々気晴らしをする為、母を介護施設に預けた事があります。
 高橋さんの場合は重篤の子どもたちを一時的に診療所で預かるという、新しい試みでした。意外や意外、このレスパイトケアに理解を示し、受け入れる施設が日本では数えるほどしかありません。それは「家族ががんばるのは当たり前」という風潮が根強く残っているからだそうです。
 高橋さんがその事業を始めるきっかけとなったのは、新生時にへその緒が首にからみ、酸素不足で脳に重い障害が残った子の在宅医療を引き受けた事でした。その子は既に大学病院で見放された為、途方に暮れた両親がせめて短い期間を在宅でと思い、片っ端から引き受けそうな医院に電話をかけ、やっと高橋医師とめぐり合う事が出来たというわけです。
 幸いにも家に戻ったその子は命を長らえ、鼻からのチューブで栄養が保たれています。ところがです。その子のケアの為懸命に「頑張って来た」母親が高熱を出して倒れてしまいました。診療所に駆け込んだ母親の訴えを聞いた高橋医師は、「親が倒れたら、子どもはどうなる」と真剣に考えました。親が休みをとっている間、子を自分の施設で預かれないか。そこで高橋医師は診療所の空き室に看護師・介護士を配置し、人工呼吸器をつけた子を預かる試みを始めたのです。
 しかしやり始めて分かったのは、そのケアの為に必要な経費の事でした。もしこの事業を本格的に軌道に乗せようとすると、宇都宮市の補助額は1日に1万円だけです。しかし高橋医師の試算では人件費だけで1日2万円かかり、このままではどんどん赤字になってしまうのです。
 そこで高橋医師は市に何とか補助費を引き上げてもらおうと、執拗に祈り訴えました。その期間新聞にないので推測ですが、2年間は祈願し続けたようです。するとどうでしょうか。市は高橋医師の訴えに「根負けし」、1回あたりの事業者への補助額を「相当な程度」引き上げてくれました。同時に親への負担も千円だけと大幅に軽減されたのです。それで高橋医師も看護師も介護士も気合を入れて、この事業に取り組んでいます。
 感動的なルポでしたが、聖書にも諦めずに祈る事の大切さが書かれています。
 「望みを抱いて喜び、患難に耐え、絶えず祈りに励みなさい」(ローマ12:12)。
 「求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見つかります。たたきなさい。そうすれば開かれます」(マタイ7:7)。