ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

働き過ぎの若者の燃え尽き

 2012年4月10日の朝日新聞で、若手社会学者の阿部真大さんが「リレーオピニオン」欄の3回目「されどシューカツ」に意見を書いていました。
 阿部さんは1976年生まれで、いわゆるロストジェネレーション(ネット情報によると「朝日新聞社が名づけた新語で、学生が就職する際、バブル崩壊後の就職氷河期(1994年〜2004年)と重なった概ね25歳〜35歳の世代のこと指している」とあります)労働問題の構造と本質を追求しています。
 『搾取される若者たち ―バイク便ライダーは見た!』 (集英社新書2006年)で名前が知られ、私も興味を持ちました。学者でありながら、実際「バイク便」で仕事をし、そこから若者達の抱えている問題を考察していたからです。

 こうした高学歴の人が象牙の塔に籠らず、町に出て行って実際に労働又は若者の生態を観察して論文にする手法は、宮台真司氏あたりからであろうと私は思っています。そして現在阿部氏の書いたものが注目されています。主要な書物は上記のものと、『働きすぎる若者たち「自分探し」の果てに』で、後者を今回図書館で借りて読みました。
 その本で扱われているのは介護事業所などで働くケアワーカーたちです。私も実習などで見聞した事のある介護事業所は幾つかありますが、その頃は高級有料老人ホームを除くと、だいたい1部屋に4人位がいて、ケアワーカーが世話をしていましたが、今はもっぱらユニットケア(一人部屋で利用者が過ごす)が主体になっており、そこで若い介護福祉士などがどう関わっているかを、インタヴューを含め多角的に考察しています。
 そこではケアワーアーは利用者の事をよく知る為に、長時間関わりを持つ事になります。やりがいは十分持っています。そして彼らは仕事に没入してしまいます。粉骨砕身して働き続けます。勿論残業も多くこなしています。するとどうなるか?彼らの身体は疲弊し続け、腰痛や感染症に罹患したりします。私の経験でも腰痛の介護士が多く見られました。
 しかし彼らの賃金はと言いますと、「専門職」である看護師に比べかなり低く、独身は勿論夫婦であっても共働きしない限り、食べる事だけで精一杯です。
 彼らの平均勤続年数は3・4年と極めて短く、30代で遂に燃え尽きて職場を去って行きます。その時助けの手を差し伸べてくれる人は誰もいません。
 その一方で経済的に余裕のある「有閑型パート」の比較的高齢な女性たちが、燃え尽きず働いています。ここには大きな矛盾があって、両者が賃金の向上を目指して「連帯」する事は困難です。
 朝日記事によりますと、阿部氏は「働く側は自らの不安を軽減させるためにやりがいに頼る。企業は激しい競争にさらされるので、サービスを向上させ、賃金を下げるしかない。そのために、働く側のやりがいを利用する…『やりがいの搾取』です」と分析しています。
 この悪環境の改善には勿論政府の側の規制等が必要ですが、当面期待出来ません。そこで阿部氏はやりがいの仕事以外に自己実現の場を求めるのも大切だと言っています。そうなのかも知れません。しかし彼らの重荷どう解決したら良いでしょうか?聖書にはこうあります。
 「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます」(マタイ11:28)。
 私としてはそうした疲れ重荷を負っている若者たちが、貴重な休みの日に(といっても日曜礼拝など望むべくもないのですが)教会に来られる事を希求します。「互いの重荷を負い合い」(ガラテヤ6:2)とありますが、最小限でもその人の為に教会は祈り、神が逃れの道を備えて下さるよう執り成しをします。
 信徒の経営する施設(〜キングズガーデン)を訪れた事があります。決して「きれいごと」だけでは済まされませんが、ケアワーカーのケアは、少なくも世の施設とは違って大切にされるはずです。