ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

高松塚古墳の国宝壁画を駄目にしたカビ

 朝日新聞では3月12日から4日間にわたり、「飛鳥美人の40年」という欄を設け、国宝となった奈良県高松塚古墳の壁画「飛鳥美人」が、発見後40年経過して、どう変質してしまったのかを記事にしていました。

 高松塚古墳奈良県明日香村に存在する円墳です。奈良県橿原考古学研究所が主体となり、1972年に発掘が開始され、その石室において鮮やかに彩色された壁画が発見されました。そして2年後にその壁画は国宝に指定されたのです。それからこの2012年3月で丸40年が経過しました。
 この記事で問題になったのは、古墳の石室に外気が入ってカビが繁殖しないよう、シリコーンで密封されているはずが、実はそうではなく、黒カビなどが大発生し、壁画を多いに劣化させていた事です。2002年に発見されました。カビそのものは石室を発掘している時に、既に存在した盗掘穴周辺でびっしり付いていた事が分かっていました。

 考古学史上稀に見る大発見だったので、所轄の文化庁は早速壁画保存の為に動きました。発掘時点ではまだ鮮明な色彩が残っていた為、いかに黒カビやダニ、ムカデによる虫害から劣化を防ぐのかが大きな課題でした。壁画は切石に塗られた漆喰の上に描かれており、その漆喰自体が危うい状態で、下手にいじると剥落の危険性もありました。ですから保存の方法などは専門家により様々な角度から検討されたとは思います。
しかしなにしろこの石室、高さ1・1メートル、奥行き2・6メートルという事で、2人も入るともう身動き出来ないほどになってしまいます。劣化を防ぐための温度や湿度の管理も難航を極めました。しかし修理工事は数回試みられ、曲がりなりにもカビの大量発生は抑えられて来ました。でも上記2002年に文化庁は大ポカをやらかし、劣化が一気に進んだようです。
 ところがです。文化庁はこのミスを隠蔽する作戦に出たため、2004年に朝日新聞がそれを暴露しました。そこで2006年文化庁はやむを得ず担当者らの処分を行いました。でもそれで一件落着ではありませんでした。カビ問題はいよいよ深刻化し、その抑止をどうすべきか検討がなされ、文化庁は前代未聞の古墳破壊と、壁画保存の為の石室解体を決めてしまいました。2007年からその工事が始まりましたが、その作業中に見つかった黒カビの繁殖状況は想像を絶するものがありました。もはや国宝としての価値は大幅に減少したと言っても良いでしょう。現在修理施設で専門家による作業は続けられていますが。
 この国の所轄官庁による隠蔽工作は、何やら今回の原発事故隠しに奔走した国や東電のやり方と良く似ています。
 ところで聖書にはこのカビは出て来ませんが、「しみ」は登場します。
 「義を知る者、心にわたしのおしえを持つ民よ。わたしに聞け。人のそしりを恐れるな。彼らのののしりにくじけるな。しみが彼らを衣のように食い尽くし、虫が彼らを羊毛のように食い尽くす。しかし、わたしの義はとこしえに続き、わたしの救いは代々にわたるからだ」(イザヤ51:7〜8)。
 黒カビは私たちには馴染みのあるもので、真菌の仲間ですが、気がつかないうちに繁殖して行きます。同じように「しみ」(ヘブル語アーシュ)も衣類を食い荒らす虫で、密かにゆっくりと、しかし確実に衣を食い尽くしてしまいます。それが主である神を信じて義とされ救われた人と対称的な、「不義の人々」に適用されています。その不義の病は静かに、それと気づかないうちに進行し、やがて完全に滅ぼしてしまいます。不義の罪の結果は死です。それは転移したガンの如く身も魂も蝕み、人々を死においやります。主はそのような者たちを恐れるなと義人を叱咤されます。義人は滅びる事なく、永遠のいのちに至るからです。その人は何と幸いな事ではないでしょうか。