ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

古市憲寿氏の考える幸福な若者たちの限界

 「あなたは、自分は富んでいる、豊かになった、乏しいものは何もないと言って、実は自分がみじめで、哀れで、貧しくて、盲目で、裸の者であることを知らない](黙示3:17)
 古市憲寿著『絶望の国の幸福な若者たち』を読みました。発売当初この題にとまどいと、ホントかな?という思いがあったので、注意深く学んでみました。画像はネットから借用。

 古市氏は1985年生まれで、現在28歳東大文系の博士課程に在籍しています。内閣府の「国民生活に関する世論調査」の一番若い対象20〜29歳の中に入っています。古市氏はこれと他の若干の調査報告を頼りに、現代の若者の全体像を大雑把に把握しようとしています。
 一般に世代間格差が広がり、若者たちが貧困化していると言う人がいますが、古市氏はそう考えません。なぜなら20代という若年層では、そもそも世代内部での給与格差などほとんどありません。そして彼らの親の世代は「高度成長期の恩恵を受けて来た『勝ち組』世代なのだ」と氏は言います。従ってその比較的富裕な世代の親のもとに寄生している20代の若者たちは、結構親から金やモノを引き継いでおり、二十代男子の六五・九パーセント、二十代女子の七五・二パーセントが、現在の生活に満足していると答えています。まさにホントかな?という気持ちです。これが二年後の調査ですと、上記二十代男子の七一・三パーセント、女子の七八・八パーセントと、さらに上昇しています。女性ではむしろ三〇代から五〇代にかけてその比率は減り、七〇代でやや上昇に転じています。男性は六〇代から七〇代で上昇、特に七〇代以上は二〇代より比率が高くなっています。
 しかしです。それには条件があって、「『仲間』がいる『小さな世界』で日常を送る若者たち」こそ、満足で幸せという事なのだそうです。
 そうした彼らも歳をとるに従い、親元から離れて行かなければなりませんし、経済状況は厳しく、就職もままなりませんから、特に日本社会という中で将来に対する「希望」が持てないと思っている若者たちの比率は相当高くなります。「日常生活の中で、悩みや不安を感じているか」との設問に対して、二〇代男女の六三・一パーセントが悩みや不安を感じているようです。二年後は六二・四パーセントとやや下がってはいます。
 そこで古市氏が出したのは、若者たちは「今日より明日がよくなる」という希望が持てないから、「今は幸せだ」と言う事が出来るという結論です。それが本の題名になり、良く知られたニューヨークタイムズ日本支社のマーティン・ファクラーさんを困惑させている事柄です。
 あとは原発阪神大震災の時のボランティア活動、尖閣問題、それに戦争が起きたらといった問題にも触れていますが、戦争が起きたらいち早く逃げるという答えが印象に残っていました。
 私としては主体となった内閣府調査の設問の仕方など、そのまま鵜呑みに出来るのかなという疑問がありますし、何より二〇代の若者たちが幸せで満足と感じるのは、たぶんに物質的なものとスマホで繋がる仲間といった事に於いてでしょうが、それらは刹那的です。やはり永遠に繋がる心の充足こそ最も大切で、将来に対する絶望を跳ね返してくれるのではないかと思いました。本当の弱者に対する視点もまだまだと感じた次第です。
 【若い男よ。若いうちに楽しめ。若い日にあなたの心を喜ばせよ。あなたの心のおもむくまま、あなたの目の望むままに歩め。しかし、これらすべての事において、あなたは神のさばきを受けることを知っておけ」(伝道11:9)。
 「あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。わざわいの日が来ないうちに、また『何の喜びもない』と言う年月が近づく前に」(伝道12:1)。