ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

今野晴貴著『ブラック企業』を読んで

 「彼らの心は暴虐を図り、彼らのくちびるは害毒を語るからだ」(箴言24:2)。
 2014年1月やっと予約していた上記の本を図書館で借りて読む事が出来ました。今野氏は一橋大学大学院博士課程在籍中に出版したこの本で、第13回大佛次郎賞を受賞しました。その賞が決まった時、朝日新聞では昨年12月21日に大々的に報じており、5人の識者が論評していました。
 ブラック企業という言葉を知らなくても、昔から暴力団が違法のビジネスを行う為の隠れ蓑としての会社は存在していました。しかしそれはかなり限定的なものだったでしょう。
 今野氏は「はじめに」という項で、そうした昔のイメージとは違うのが、今日使われている『ブラック企業』だという事を強調しています。即ち「違法な労働条件で若者を働かせる企業」がそれだと簡単に定義しています。ちなみにウイキペデイアでは「新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業を指す」とありました。さらに朝日編集委員によれば、「派遣など非正規雇用が増える中で、若者は何とか正社員の座を目指す。だが正社員になっても安心できないのがブラック企業だ」「ブラック企業は異常な長時間労働で『使える者』を選別し、残りはパワーハラスメントなどで人格を破壊して退職に追い込んでいく」とあります。
 これらに共通するのは、若者を標的にした違法な企業という事です。そしてそうした会社に入社しても、若者は働き続ける事が出来ず、今や格差問題が非正規雇用問題から、正社員を含む若者雇用全体へと移行した、と今野氏は見ています。
 この本で今野氏はブラック企業のパターンを示しています。
1月収を誇張する裏ワザ。
2『正社員』という偽装。
3入社後も続くシューカツ。
4戦略的パワハラ
5残業代を払わない。
6異常な36協定(*労働基準法36条)と長時間労働
7辞めさせない。
8職場崩壊。
 これらを実現させる技術が次に詳しく述べられていますが、まさに若者の人格を破壊させるひどい行為です。
 これを自己責任だと黙っているだけでは、即解雇、ホームレス、鬱病、自殺など、いかなる若者にも起こり得るわけです。
 ですから今野氏はこちらから企業に対して対抗策に打って出る戦略的思考と行動が必要だと主張しています。
 どこまで有効か分かりませんが、弁護士、組合、社会保険労務士都道府県の窓口、労働NPOなどを出来る限り活用しなければなりません。
 このブラック大手新興企業の典型は、今野氏は伏せていますがネットを見ますと、かの衣料品会社ユニクロである事が一目瞭然です。そこに入社した若者たちは、選別され、使い捨てにされ、うつ病という後遺症が後々まで尾を引いています。湯浅氏の言う「滑り台社会」から「落とし穴社会」へと、急激に突き落とされてしまうのです。
 私たちはユニクロが冬暖かく、夏はクールな衣服を開発しており、比較的安価なので、そこへ買い物に行きます。しかしその陰でそうした「廃用」に近い状態に貶められた多くの若者たちの事を想起するでしょうか。自分の事として考え、不買ないしは解雇された若者たちと連帯して戦い、ブラック企業の名を返上させるところまでゆく気構えがあるでしょうか?これは顧客第一と称して従業員を使い捨てにするアマゾンとも共通する事象です。