農薬からミツバチ守れ
2012年5月9日の朝日新聞では、上記の題で記事が書かれていました。
ミツバチがいなくなったという話は割合よく聞きますが、その原因については不明でした。
具体的に見ると、北米で2000年代半ばに「大量に姿を消す」とあり、国内では2009年に大量死が多発した事が養蜂家から報告されています。
そしてその死因は「農薬」「ダニ」「ウイルス」「環境悪化」などが挙げられていますが、特に最近の研究では、この農薬のうち「ネオニコチノイド系」と呼ばれているものが「犯人」として有力視されています。
ネオニコチノイドというのは、ネオ(=新しい)とニコチンと接尾辞―オイド(=様なもの)が付いて、新しいニコチン様物質という意味があります。
ですから私たち人間が被っているニコチンの毒に似た物質が、ミツバチに作用してその大量死を招いているのではないかという事です。実験室での急性毒性は一般に低いとの事ですが、ミツバチの場合そうではなさそうです。
栃木県那須にある畜産草地研究所によりますと、2009年に死んだミツバチの9割以上、弱っているミツバチの7割近くから、ネオニコチノイド系の農薬が検出されたとの事です。
このネオニコチノイド系農薬は、専らイネにつくカメムシなどを除去する為に使用されています。カメムシは関西に出ていた頃よく見かけました。悪臭がするとの事ですが、単独で見つけたものを捕まえても、そうした経験をした事はありません。イネの害虫として知られているようですから、日本でのネオニコチノイド系農薬使用量は当然多くなります(フランスでは既に使用禁止となっているのに)。いつの情報か分かりませんが、ネットでは日本が一番多く使っているそうです。
ワシントンタイムズサイト(http://communities.washingtontimes.com/neighborhood/buzz-bees/2012/may/10/bees-are-being-killed-beekeepers-sue-epa-over-pest/)でも、5月10日に「ハチが殺されている:養蜂家は殺虫剤についてEPA(米国環境保護庁)を訴える為の最初の一歩を踏み出した」という題で記事を寄せています。クロチアニジンというネオニコチノイド系農薬の販売を許容しているからだそうです。米国ではイネではなく主としてトウモロコシの被害を防ぐ為です。
クロチアニジンがミツバチにとって最も毒性の高い化合物である事を、既にEPAは掴んでいたようです。養蜂家たちは、その容認は組織犯罪に等しいと手厳しいです。
しかしこの農薬を作っているバイエルクロップサイエンス株式会社も黙ってはいません。犯人を農薬に集中させるのは見当違いだ、他の要因を考えるべきだと主張しています。かなり激しい法廷での論争になりそうです。
聖書では神の約束された地カナンを「広い良い地、乳と蜜の流れる地」と形容しており、ミツバチの飛び交う豊かな土地であった事を示しています。
「この地はどこでも、森にはいって行くと、地面に蜜があった」(サムエル第一14:25)。
その蜜は貴重なエネルギー源として重宝されました。そればかりでなく、主なる神のみことばもそれに譬えられています。
「それらは、金よりも、多くの純金よりも好ましい。蜜よりも、蜜蜂の巣のしたたりよりも甘い」(詩19:10)。
主が譬えで用いられているミツバチの巣のしたたりが農薬のせいで駄目になったら、その御怒りは大きいはずです。