ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

半市場経済(内山節著)におけるエシカルビジネス

 「朝のうちにあなたの種を蒔け。夕方も手を放してはいけない。あなたは、あれか、これか、どこで成功するのか、知らないからだ。二つとも同じようにうまくいくかもわからない」(伝道11:6)。
 哲学者内山節氏が東京と群馬県上野村を往復しながら提唱している『半市場経済』(=経済の展開と社会の共創が一体化しうる、倫理性<エシカル>を伴う経済のかたちーhateheiのまとめ)の著作において、特に第二章のエシカルビジネスが興味深く、少し紹介してみたいと思いました。
 「たとえば、自分が食べているチョコレートが『強制労働や児童労働を強要する農園で収穫されたカカオからできている』と聞いたらいい気持ちはしない…だからフェアトレードのチョコレートを選んで買う。このとき、私たちは『消費者』という自分を起点として、それを買ったコンビニ、作ったメーカー、原材料の輸入商社、アフリカの仲買人、カカオ農園、そこで働く人びと……と、さかのぼっておおもとのステークホルダー(*利害関係者)に意識がつながっている…」。
 これが倫理的企業かどうかを見分ける私たち生活者・消費者の視点であるべきです。東芝に関して言えば、「原発という安全安心でないものを海外に売るな!」、アマゾンに関しては「従業員を虐待・使い捨てにするブラック企業から本を買うな!」、ユニクロなら「過重労働を改善しないブラック企業から服を買うな!」という事になるでしょう。ここまで想像力が働くと、ごく普通の消費者なら不買運動を起こすでしょう。

 第二章ではオーガニック・コットンを私たちにもたらしてくれたアバンティ(株)が、まず紹介されています。
社長の渡邊さんは従来の農法による綿花栽培を実情を知ってしまいました。米国の綿花畑に大量の農薬、殺虫剤が散布され、土壌汚染・水資源汚染をもたらします。農業従事者の健康障害まで引き起こしています。
 疑問に思った渡邊さんは、テキサスで無農薬有機栽培農法を貫く農場主を知り、そこに法人組織を設立しました。そして原綿の輸入から小売販売までのほぼ全過程を自社で賄っています。これは第二章執筆の細川敦氏が「驚異的」と評しています。またオーガニックコットンによる自社ブランド「プリスティン」は、そのオンラインショップ(http://www.pristine.jp/?gclid=CMGX9dTVxskCFRMIvAod0FwK2A)を見ても想像出来ますが、極めて肌に優しい商品となっています(*価格は高いですが<泣>)。また3・11後の東北支援にも積極的に関わっています。渡邊社長は壊滅的になったいわきの農地に、有機栽培で綿花を育てる事を考えつきました。そこにいわきでずっと活動して来たNPO法人「ザ・ピープル」のスタッフとの出会いが大きなウエイトを占めました。さらに他のNPO法人も加わり、「いわきおてんとSUNプロジェクト」が立ち上がったのです。この企画は順調に進展し、ふくしま全体で2年前には37箇所にも達しています。(写真上左が渡邊社長)

 私は来年2月いわきに引っ越しますが、内郷駅から徒歩1時間ほどで好間町中好間にある「いわきおてんとSUN企業組合」に行けるので、是非ボランティア活動をしたいと願っています。
 もう一つだけ紹介したいエシカル企業は、本社が表参道にある株式会社「ワイス・ワイス」です。佐藤岳利社長が指導権を握り、フェアウッド(*合法性確認材)家具、純国産家具を生活者や事業者に提供し続けてゆこうと張り切っています。写真右。

 きっかけは自社家具製造の為の木材が100パーセント輸入材であり、それらに違法伐採材がたぶんに含まれている可能性を知っての事です。「これでは家具製品を作れば作るほど、売れば売るほど、森林環境破壊と犯罪のお先棒を担ぐことになってしまう」と思い至り愕然としました。
 また木材貿易自由化は、「日本の伝統的な森林経営を衰退させた」と、危惧の念を募らせました。
 そこで使用木材の全てをフェアウッドに切り替え、純国産材比率を50パーセントにアップする事を目指しました。この挑戦には社内でも相当の反対があり、佐藤氏には試練の連続だったようです。しかし社内組織の改編、経営体制の見直しなどで、立ち上げたプロジェクトをついに達成しました。このあたりの経緯はhttp://www.projectdesign.jp/201503/simada-manage/001972.phpなどに詳しく載っています。
 私は東芝の不正事件の事をずっと考えていて、この本に巡り合えたのは幸いでした。でも言うは易くで、ブログ仲間の中には、アマゾンで本を購入している人も多く、経済的な面では実行は難しいと感じました。