ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

堤未果さんの情報の正確な読み方

 私が堤さんの事を初めて知ったのは、岩波新書の『ルポ貧困大国アメリカ』を読んだ時です。
 堤さんは日本の高校を卒業後、米国のニューヨーク州立大学国際関係論学科に入学、卒業後はニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士課程に進みました。そうした経歴から英語は堪能で、米国各地を歩き、様々な問題で精力的にインタヴューを試みています。

 私が堤さんに注目したのは、上記の著書にもあるように、米国の政府やマスコミが絶対伝えないような「不都合な真実」を明快にあぶり出している事です。
 弱者への取材訪問が主体で、かなりの人々から情報を得ていると思われますから、どこまで客観性があるかは分からないにしても、極めて説得力があります。
 その堤さんが最近『政府は必ず嘘をつく』(角川SSC新書)という本を出し、なかなか好評で、やっと図書館での予約の順番が回って来て借りて読みましたが、なお順番を待っている人々が多くいます。
 私が付箋を置きながら読んで見た感想は、米国政府、そして日本政府や東電などがとてつもない嘘をついて国民をごまかすという、恐るべき事実の一端を知り得たという事です。正直読んでいて怖くなりました。
 特に過去のブログでリビアカダフィ大佐に触れましたが(http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20111024/1319434118)、その内容を堤さんの報告と比べて読むと、聖書の表現である「衣を裂き」たくなりました。罪の悔い改めと悲しみを表す表現です。
 私は完全に西側のマスコミ報道に踊らされていたようです。
 この本のインタヴューの中に、リビアにたくさん友人を持っている人の発言がありました。「彼らは高学歴・高福祉の国であるリビアを誇りに思っています。アフリカ大陸で最も生活水準が高いリビアでは、教育も医療も無料で、女性も尊重されている。日本の人たちは、そういうことを知っていますか」。
 彼は多数の国民から尊敬されており、決して独裁者ではありませんでした。反政府デモを行なった一部市民への弾圧というのも嘘で、そうした映像は現在削除されています。
 ではカダフィは米国を主体とし、NATO軍も加わった内戦で、なぜ殺害の標的になったのでしょうか。それは彼が「ドルやユーロに対抗するアフリカとアラブの統一通貨・ディナの発行を計画し…<アフリカ通貨基金>と<アフリカ中央銀行>の創設」を試みようとしていたからです。これはIMF世界銀行にとって不利となり、介入が出来なくなります。だからカダフィは米国など西側諸国から抹殺されなければならなかったという事です。一部市民は米国が陰で糸を引いていたと想像されます。
 その図式が現在内紛状態のシリアのアサド政権にも当て嵌まるというのです。確かにシリアは貧しい国かもしれません。しかし大多数の国民が政治の安定を歓迎しており、「アメリカ型グローバル資本主義の価値観はいらない。イスラムにはイスラムの幸せがあるのです」。だから反政府軍は「外国からの干渉、または別の意図で仕掛けられている」という認識がなされています。私は新聞などではシリア内戦の記事をさっと一瞥するだけで、こうした事の本質を完全に見落としていたようです。
 だから米国発グローバル資本主義は、日本においてはTPP問題で顕著です。農家を始め相当の人々が反対を表明していますが、野田政権は批准にむけてごり押しをしています。堤さんがその問題で一番懸念しているのが、「ISD条項」(投資家対国家間の紛争解決条項)というものです。これは米国の1パーセントを占める超富裕層や大資本が「自分たちの利益を損なう規制に関しては、その国を相手に訴訟を起こす権利」がある事を認めるものです。そんな重大な条項を野田政権はほとんど知らなかったそうですし、私も見落としていました。
 例えば医療分野で考えると、私たちは米国開発の新薬を高い値段で買わされていますが、後発商品(ジェネリック医薬品)がかなり安いので、その恩恵を受けていますが、TPPが実施されると、自分たちの利益を損ねるそうしたジェネリック医薬品を出している会社に訴訟を起こし、勝利する事が出来るというわけです。
 私にも全く分からなかったこの真実の一端、神だけは違います。
 「わたしの目は彼らのすべての行ないを見ているからだ。彼らはわたしの前から隠れることはできない。また、彼らの咎もわたしの目の前から隠されはしない」(エレミヤ16:17)。
 その神がひどい罪咎を平然と犯す人々を、終わりの日に裁かれるでしょう。