ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

グローバル恐慌の下で

 2008年9月のリーマンショックと呼ばれる投資銀行の破綻から始まったグローバル(*世界経済)恐慌の中、日本の影響は少ないどころか今や極めて深刻な状況に陥っています。
 2年前に出た浜矩子著『スラム化する日本経済』は、その日本のひどい経済の現状を暴いていますが、それは2年後も基本的に当て嵌まるでしょう。

 浜氏が言うグローバル・ジャングル(*地球経済の錯綜の場)では、従来のインフレ、デフレ、両者を結合したスタグフレーション(不況下の物価高)で説明し切れない現象が起きています。
 このジャングルの中ではかつてないほどの厳しい競争が強いられ、「デフレがインフレを呼び覚まし、インフレが人々をデフレの淵へと誘い込んでいく」のです。
 限られた資源価格は上昇しますが、地球規模の競争下では簡単に製品価格は上げられません。それならどうするのか。「ヒトの値段にコスト抑制の為のバッファー(*二つの対立するものの間の不和・衝突をやわらげること=国語辞典)役を担わせる。下方柔軟化している賃金をさらに下方に追いやることで、資源高:原材料高の分を相殺しようとする」のです。
 東洋や東欧などではまだまだ賃金の最下位争いが続き、「賃金は世界規模で、しかももっとも低い水準に、それこそ横並び化していく」のです。
 こうした中で経済格差は途方も無く拡大してゆきます。「占拠せよ」で有名になった米国では、たった1パーセントの富裕層とそうでない99パーセントの人々に確実に二極分裂化して行き、中間層がいなくなりましたが、日本も全く同じ形に近づいています。
 浜氏は今や労働者の間で四極分化が進んでいると言っています。1正規労働者、2非正規労働者、3外国人労働者、4労働難民(=労働者になりたくてもなれない人々)です。資本家対労働者という古典的な対立の図式はもはやありません。1〜4のタイプの人々の間では団結は不可能になっています。1のタイプの人々が典型的に「自分さえよければ」の利己主義的な価値観で動いています。
 他方特に4のタイプの人々は、仕事を得る為にハローワークに通って就職先を探します。そして面接にゆかなければなりませんが、その為の交通費が出ません。ならば自転車や徒歩で相当な時間を費やしそこまで行かなければなりません。この段階でかなりの労働難民は諦めてしまいます。仮に運良くそこまで辿りついたとしても、既に他の多くの人々が面接済みであり、住所を訊かれてまともに答えられなければ、それだけで刎ねられてしまいます。そうした人々が生活保護を求めても、ケースワーカーは簡単には受け付けてくれない時勢ですから、食べる糧を失った人々は餓死するか、自殺するところまで追い遣られてしまいます。
 しかし1の勝ち組は安泰だと言っていられるでしょうか?米国でも日本でも中堅以上の会社がバタバタ倒れ、多くの解雇された社員たちが路頭に迷っています。
 浜氏はこの「自分さえよければ」の論理も破綻しつつある中、有効な対策が講じられなければ、「誰も生き残れなくなってしまう」と警告しています。つまり分かち合いに失敗したジャングルの中では、「誰一人として幸福ではない世界が、訪れることになってしまう」のです。
 こうした根本的な問題に取り組まず、しゃにむに消費税だけを上げようとしている野田政権は歴代の中で最悪の宰相となるでしょう。
 でも聖書はその状態が続き、遂には悲惨な災害や戦争が起こる事を預言しています。人々の互いに思いやる愛が冷えてしまうからです。
 「不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります」(マタイ24:12)。
 「世の富を持ちながら、兄弟が困っているのを見ても、あわれみの心を閉ざすような者に、どうして神の愛がとどまっているでしょう」(ヨハネ第一3:17)。
 神が最初に人間を造った時、一人一人がかけがえのない存在でした。彼らは皆平等で限りなく幸せ、神と共に歩み、神と語らい、創造主である神を賛美しつつ限りなく生きるはずでした。しかし人間は自由意志をもって、この神の目的から逸れて罪を犯し、堕落しました。ノアの洪水直前の描写「主は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった」(創世6:5)というのは、まさに現代の世界に通用します。
 終末は近いと思いますが、それまで尚、1パーセント以下の貧困層の死骸が累々と折り重なって行くでしょう。でもキリストの救いに与かった人々なら、天国で限りなく幸いな生活を送る事になります。