国は会社よりさらに冷酷になれるー池澤夏樹氏の主張
2012年7月3日の朝日夕刊「終わりと始まり」の欄では、これまでも取り上げた事のある私の高校の1年先輩池澤夏樹氏が再び登場していました。
池澤氏は信仰という一点を除けば、その主張は全て共感出来るし、学ぶところが多く、連載を楽しみにしています。画像はネットから拝借。
池澤氏はよく知られた作家故福永武彦氏の息子です。実はネット検索して驚きました。前回まで取り上げられた機会はあまりなかったと思いますが、彼の離婚再婚の話がずらっと並び、あきれてしまいました。聖書でも信仰の勇士がその問題で失敗した記事は少なくありません。しかしネットでのそうした情報は、彼の現在の諸々の主張からすれば、何か彼を貶めようとする力が働いているように思えてなりません。そういえば、この下書きを書いていた7月5日の新聞広告(週刊誌)には、やはりブログで取り上げた事のある反原発活動家山本太郎氏についても、その姉が運動に疲れて大麻を吸ったとかいう記事が載っていました。何かおかしい、反原発で名前の知られた人々が、マスコミの餌食にされているように思えてなりません。マスコミ自体原発報道で大きなミスを続け、その自浄能力を欠いています。私の主張する「メメント(覚えよ!)・フクシマ」は、時と共にあまり取り上げられなくなりました。そのミスを棚に上げて、私的な問題で有名人をあげつらう事、聖書でも警告されています。「ですから、すべて他人をさばく人よ。あなたに弁解の余地はありません。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めています。さばくあなたが、それと同じことを行なっているからです」(ローマ2:1)。
今回のコラムでは池澤氏は主として「水俣病」の事を書いていました。私は迂闊にも(*最近情報洪水の中で、他の方々のコメントやブログを通して、この言葉が頻発しています<苦笑>)この水俣病問題が今でも続いている事を忘れていました。本日の朝日では水俣の対岸にある天草地方でも、明らかに有機水銀の影響による症状が多数の人々に出ている事が報じられていました。しかし国の救済策は、原則対象地域を限定しています。
そこで池澤氏は、この救済に関わる特別措置法申請の期限がこの7月末に来る事に対して危機感を抱いています。地元の医師たちの地道な努力により、「潜在的な患者、無視されてきた患者が広い範囲にたくさんいる」と言っています。特に氏は天草には言及していませんが、国は救済措置の申請者を1968年までに住んでいた地域によって区別している為、「対象地域外にいた者は汚染されていた魚をたくさん食べていたことを自分で立証しなければならない。誰が魚屋で魚を買って領収書をもらい、五十年先までそれを取っておくだろうか」と憤慨しています。全くその通りです。
さらに天草の場合、水俣病発生当時漁業に従事していたかどうかも判定の基準に入っています。朝日に載ったグラフを見ると、魚業者・非漁業者で優位な差はありません。ですから今月末で天草地方の人々がどれ位救済対象になるのか、見守りたいと思います。
池澤氏は公害を引き起こしたチッソという会社と、原発を引き起こした東電という会社が、その無責任さにおいて「重なって見える」と言っています。それにも全く異論がありません。
しかし氏はチッソという会社も辛かっただろうと述べた上で、現在の国のやり方を対比してみると、題にある通り「国は会社よりさらに冷酷になれる」のです。私が惹かれたのは氏のこの言葉です。当然現在の国の首相の無責任な態度も問題にしています。
この国の冷酷さを考えた時、ふと浮かんだのが、東京の城南信用金庫吉原毅理事長の反原発メッセージです。優しさがひしひしと伝わって来ます(http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1000)。
「自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい」(ピリピ2:4)。