ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

アンダークラス

「貧しい者が国のうちから絶えることはないであろうから、私はあなたに命じて言う。『国のうちにいるあなたの兄弟の悩んでいる者と貧しい者に、必ずあなたの手を開かなければならない』」(申命15:11)

 図書館で橋本健二著『アンダークラス』を借りて読んだ。

 橋本氏によると、現在の日本は従来の4階級構造(資本家階級、新中間階級、労働者階級、旧中間階級)から、労働者階級の中で非正規労働者(パートの主婦を除く)が階級以下の存在アンダークラスとして浮かび上がり、5階級構造に転換したという事になる。

 驚くべき事に、既に約930万人(就業者全体の約15パーセント)が、アンダークラスとして存在している。そのうちの年齢分布では、70歳代(約11パーセント)に私も入る。そしてその世代での貧困率は、男性で27パーセントとかなり高い。でも生活の満足度では、男性の場合、20~50代よりも、格段に高く、34パーセントと他の階級に近い。意識の上ではあまり下層性を感じさせない。その点2~30代の男性は、精神的にかなり追い詰められ、絶望と隣り合わせ、とても幸福とは言えないそうだ。

 それは数年前に読んだ古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』の若者像と決定的に異なる。統計手法にもよるのだろうが、私もその頃(2011年東日本大震災の年)若者たちがそんなに幸福なのだろうかと訝ったものである。

 この2~30代の男性は未婚率90~70パーセントと高く、心の病も突出している。学校でのいじめ、不登校、中退など深刻な経験をしている。社会での一般的な信頼関係も相当に低く、協力的な行動がとれずに孤立している。

 この絶望的なアンダークラスでの僅かな希望としては、「理由はともかく生活に困っている人がいたら、国が面倒を見るべきだ」という明確な姿勢を保っている事だと、橋本氏は指摘している。これは国がうわべで謳っている憲法基本的人権を、彼らが堂々と主張しているという事だろう。

 私は男性として、この本から実感的な面を取り上げたが、橋本氏は女性のアンダークラスについても、ページを割いて詳しく述べている。紙数の都合で今は触れない。

 政治関係でも本の最後のほうで出て来るが、アンダークラス自民党支持率は当然低い。でも野党が不甲斐ないから、自民党以外の受け皿も無いと言える。全く無関心であり、まして「反原発」なんて考える余裕もない。

 ここまで読んで来て、ならば幾ら国や県、市町村が呼びかけても、福島に若者が帰って来ない理由の一つとして、このアンダークラスの若者たちが多いから、という点も指摘出来ると思った。自民党は特にこの階級に対して、所得再分配による救済を拒否しているのだ。

 仮にアンダークラスへの思い切った救済策を採ったとしても、彼らの幾人が福島に来るだろうかと考え込んでしまった。

 70代の私が所得は最低でも幸福感を持つ理由は、ひとえに神による救済策があるからだ。神を第一にした時、食べるもの、着るものなど全てが満たされるという約束があるからである。

 「だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。だから、あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります」(マタイ6:33-34)。