交通事故死より多い米国の銃による死
厚生労働省平成20年人口動態統計によりますと、死因の1位は悪性新生物(がんなど)、2位心疾患、3位脳血管疾患、4位肺炎、5位不慮の事故、6位老衰、7位自殺などとなっています。
一方2002年の米国の統計調査によりますと、死因の順番に並べると、心臓(28.5%)・がん(22.8%)・脳血管(6.7%)・肺(5.1%)・事故(4.4%)、以下糖尿病、インフルエンザ、アルツハイマー、腎臓、敗血症、自殺、肝臓、高血圧、殺人、という順番になっています。
各国の統計の方法が異なる為に、なかなか並列して比較してみる事が出来ません。
そうした中1012年5月23日のハフポストサイトでは、「10州で銃による死者数は車の事故による死者数を越えている」という題で、ジョシュ・シュガーマンという人のブログが掲載されていました。
連邦政府のデータによりますと、2009年度でアルファベット順に並べると、アラスカ、アリゾナ、コロラド、インディアナ、ミシガン、ネバダ、オレゴン、ユタ、バージニア、ワシントンの各州で、ほぼ僅差ですが銃による死亡者数が実際に自動車事故死より上回っています。一例としてコロラド州で583人の銃による死者があったのに対し、565人が自動車事故による死者となっています。自動車事故の死者数は年々減少傾向にあります。しかし銃による死者数の数は鈍っていないとありました。安全規制を考えた時、車の事故の対策はかなり進んでいるようです。
そのコロラド州オーロラの映画館で7月20日銃乱射事件があり、23日現在死者12人、負傷者58人となっています。逮捕されたのはジェームズ・ホームズ容疑者ですが、先月までコロラド大学医学部で神経科学を専攻する博士課程に在籍していたそうです。まだ動機は分かっていません。普段は平凡なタイプの人物だったそうです。写真はgooのブログから拝借(http://blog.goo.ne.jp/tagomago1021/e/6663b67ceed039285128f620bc95a06a)。
「すべての人が迷い出て、みな、ともに無益な者となった。善を行なう人はいない。ひとりもいない。」(ローマ3:12)。ゆえに普通の人が誰でも凶悪犯になれます。
米国では勿論銃規制法というものが存在しますが、歴史は浅く1993年のブレイディ法というのが本格的なのだそうです。しかしそれにも関わらず銃による事件は一向に減っていない事になります。その背景としては、7月22日の朝日新聞によると、「開拓時代の伝統から、自衛のための銃所持」という意識が、全米で定着しているからだそうです。ちなみにその自衛というのは、米国原住民との争いで、彼らを虐殺し絶滅に追い込んで来た移住者たちが正当化の為、用いる言葉でしょう。
ですから米国のように銃所持が当たり前とされているような風土では、オバマ大統領も、ロムニー候補も一歩踏み込んだ規制など考えてもいません。朝日が現地で取材に当っても、ほぼ同様な答えが返っています。「銃を持つ権利自体は守られるべきだ」。
そして規制強化に対して強力に反対しているのが、「全米ライフル協会」だそうです。
ウイキペディアによりますと、南北戦争後の1871年に設立され、現在400万人ほどの会員がいるそうです。ですから米国でも有数のロビー団体となっています。勿論共和党の保守層にもその会員が多いそうです。
しかしそうした保守層がクリスチャンであると自称しても、私は彼らをキリストの弟子とは認めません。キリストはこう言われたからです。
「そのとき、イエスは彼に言われた。『剣をもとに納めなさい。剣を取る者はみな剣で滅びます』」(マタイ26:52)。
「平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです」(マタイ5:9)。