ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ポール・ライアン氏と日本

 米国共和党大統領候補ミット・ロムニー氏が副大統領候補としてポール・ライアン氏を指名した2012年8月11日以降、米国のみならず日本でも一斉にその事が報じられました。

 ウイキぺディアによりますと、ライアン氏は1970年にウィスコンシン州で生まれました。マイアミ大学を卒業し政治家になりました。所属は勿論共和党です。宗教はロムニー氏のモルモン教とは違ってカトリックです。妻との間に3人の子どもがいます。
 ワシントンポストによると、彼はマイアミ大学では経済学と政治学を勉強して学士号を得ましたが、かつては医者になる事も考えていたそうです。
 2011年に下院予算委員会の委員長に就任しています。その彼がロムニー氏に引っ張られたからには、その主義主張に共通するものがあったからでしょう。彼は熱烈な新自由主義者だそうです。
 実際上記ウイキぺディアによりますと、メディケイド(低所得者医療保険制度)、ペル奨学金、公共職業訓練制度、フードスタンプ(政府発行の低所得者向け食糧クーポン)、低所得者向け住宅の予算削減など、徹底した小さな政府を目指しており、上記ワシントンポストによりますと、メディケア(連邦政府が管轄する高齢者または障害者向け公的医療保険制度)も作り直す事を提唱しているようです。
 それは低所得者層には過酷な政策です。しかも米国のたった1パーセントだと言われている富裕層の減税をも主張しており、金持ち優遇という点でロムニー氏や共和党の手堅い支持を受けていますが、オバマ大統領はすかさず、「下院共和党イデオロギーの指導者だ」と批判しています。ちなみに国家予算の62パーセント削減は、実に低所得者層の為の計画から出たもので、ライアン氏が提案しました。それゆえ今日の最も富裕な400人の所得は、1億5千万人もの底辺にいる人々の所得を合わせたものより多いのだそうです。
 一方カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授でその名が良く知られているロバート・ライシュ氏は、ライアン氏の事を「社会ダーウイン主義」者だと言っています。それは生物学におけるダーウイン主義を人間社会に当て嵌めたもので、社会環境に適応出来た人間が勝ち残るべきだという考え方です。
 ロムニー氏とライアン氏は、社会ダーウイン主義という点で一致し手を結んだわけです。弱者を切り捨てた「繁栄への道」です。
 さらにプリンストン大学ノーベル賞受賞者ポール・クルーグマン教授も、ライアン氏の予算削減案に対して、「詐欺師」だと激しく非難しています。
 そうした社会ダーウイン主義は、聖書で言われている事とは全く背馳しています。8月12日のタイム誌電子版では、ライアン氏のカトリック教は、オバマ大統領の副大統領ジョー・バイデン氏のそれとは全く対照的だと言っています。バイデン氏はその生涯で過酷な試練に何度も遭遇しました。その為上記医療保険制度改革を支持し、米国に蔓延する麻薬対策に熱心に取り組んでいます。ブッシュの始めたイラク戦争の拡大にも反対しました。私はそれはかなり聖書的な立場だと思っています。しかしライアン氏の信仰は、高齢者や貧困者を全く顧みていません。
 そうした経歴の持ち主が米国の副大統領となり、ロムニー氏と組んで小さな政府を目指し当選したら、日本も相当影響を受けます。かつての英国のサッチャーと同じように、「鉄の男たち」からの手ごわい要求がされて来るでしょう。
 「正しい人は寄るべのない者を正しくさばくことを知っている。しかし悪者はそのような知識をわきまえない」(箴言29:7)。