ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

大飯原発断層調査に参加している原子力規制委員会の島崎邦彦東大名誉教授

 今回の大飯原発断層調査のメンバーは、原子力規制委員会委員長代理島崎邦彦氏(地震学)、立命館大学教授岡田篤正教授、産業技術総合研究所の重松紀生主任研究員、信州大准教授廣内大助氏、東洋大の渡辺満久教授でした。
 2012年11月2日に調査が開始されましたが、8日の朝日新聞を見ますと、関西電力が過去に行った調査の不備があって、問題の箇所が活断層なのか、地滑りなのか、意見が割れ、再調査する事になったと伝えています。
 案の定渡辺満久教授はそこが活断層であり、ただちに原発を止めるべきだと主張しましたが、岡田教授は「地層のずれは、地滑りでも起きる。周辺を幅広く調査する必要があり、先走るのは危険」と述べ、重松研究員は「地質や地滑りの専門家を入れて判断すべきだ」と判断を留保しました。廣内大助准教授は活断層の可能性を指摘したそうです。
 この議論の際、渡辺氏と岡田氏は意見の食い違いから激しく論争しました。(http://mainichi.jp/area/news/20121105ddn041040010000c.html)。
 そして唯一規制委員会から参加した島崎東大名誉教授は、「活断層か地滑りか、どちらかに絞ることはできなかった。地滑りなら起こるのは限定的なので、F−6破砕帯とのつながりはなく、問題にならない」と、やはり結論を先延ばしにしました。そして島崎氏の所属する規制委員会の田中俊一委員長は「終了後の報道陣の質問に答えず、足早に会場を後にした」とあります。

 この間暫定措置の為止めておかなければならない大飯原発は、依然として稼働したままで、責任者の野田総理は何も言っていません。これに対する島崎氏のコメントは、「原発の稼働や停止は、規制委で議論する事項」と言い逃れをしています。写真左
 確かに確実な科学的判断の為に、新たなトレンチ(溝)を掘って確かめるというのは悪くはないと思われますが、渡辺教授は新たな掘削は、再稼働を促進する為の理由づけと考えており、追加調査をするにしても、あくまで原発は停止すべきだと、強く抗議しています。
 私はこの一連の報道を見て、島崎委員の言動に疑問を感じます。進行役として自分の意見を留保したのかも知れませんが、どうも一人の学者として明確に述べていないような気がします。
 私は先に安富渉東大教授の「東大話法」について、ブログで紹介しましたが(http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20120530/1338372495)、今安富教授の第二冊目の著書『もう「東大話法」にはだまされない』を読みながら、前の著書から一歩進めて「立場主義」というものを展開している事を知りました。この辺りは大変重要なので、改めてブログで書こうと思っています。
 すると島崎委員が最後に述べた「原発の稼働や停止は、規制委で議論する事項」という言い回しは、まさに原子力規制委員会所属の「立場」からの発言で、東大話法の無責任・欺瞞的なものの典型です。規制委員会に居る者の一人として、また地震学者として、現に活断層という意見がある中、どうして「まだ自分としては、活断層か地滑りか現時点で分からないので、再調査する必要があり、その間原発を停止したい」と直截言えないのでしょうか?
 そしてノー・コメントで逃げた田中委員長も自分の責任を放棄し、原発推進派の原子力ムラ住人である事を自ら暴露したようなものです。
 11月1日の朝日新聞には島崎氏の詳しい紹介が載っていました。
 2002年に三陸沖北部から房総沖で大きな津波が30年以内に20パーセントの確率で起こると予測した学者です。これには内閣府文部科学省(後者は東電要請)から圧力がかかったようです。結局東日本大震災が生じ、研究成果は生かされませんでした。
 しかし規制委発会式の結びでは、「自然が語りかけてくる言葉に予断を持つことなく耳を傾ける。常にこの基本に立ち返って科学的判断を提供したい」と語っています。でも島崎氏が根っからの原子村住人でなかったとしても、結局規制委としての「立場」を優先しなければならないという限界が見えて来ているようです。一個の科学者としての判断が留保されています。
 もう一つ地滑りを主張する岡田教授ですが、仮にそうだったとしても、それを起こす地層は砂岩・泥岩・結晶片岩、それに大飯の調査現場の蛇紋岩など比較的動きやすい地層に限られているわけですから、原発立地条件として不適格なのは言うまでもない事です。既にブログ仲間の複数の方々がそれを指摘しています。岡田教授が見たのは地滑りの大破砕帯だったのかも知れません。いずれにせよ、大飯原発廃炉は喫緊の問題だと考えます。ちなみにみんな楽しくHappy♡がいい♪さんのブログでは(http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2515.html)、岡田教授が「原子力ムラ」の住人である事を調べ上げています。
 聖書にはこんな言葉があります。
 「しかし、見張り人が、剣の来るのを見ながら角笛を吹き鳴らさず、そのため民が警告を受けないとき、剣が来て、彼らの中のひとりを打ち取れば、その者は自分の咎のために打ち取られ、わたしはその血の責任を見張り人に問う」(エゼキエル33:6)。
 問われているのは、科学者一人一人の責任です。「それを言っちゃぁおしまいよ!」、という覚悟のある気骨ある科学者が、果たしてどれほどいるのでしょうか。