世界最古のチーズ作り、今から7千年前?
「彼女(=エバ)は、それからまた、弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった」(創世4:2)。
現世の考古学や歴史学からは酪農業がいつから始まったのか、これまで不明のままでした。傍証はあってもなかなか直截的証拠がありませんでした。
今回英国ブリストル大学の研究者たちは、ポーランドのクラヴィア地域で出土した素焼きの土器片を精査し、今からおよそ7千年前に人々がその土器を使ってチーズを作っていたらしいという、かなり確かな証拠を得ました。発表は「ネイチャー誌」で、いつものように要約程度しか閲覧出来ません。それで主としてエウレカラートサイト(http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-12/uob-car121012.php)に発表されたもの(2012年12月12日)を見ながら、他のサイトも参照しました。
研究チームを率いたリチャード・エヴァーシェッド教授(有機地球化学専攻)は、小さな穴が多数開いていた素焼きの土器片を調べ、そこから抽出した脂肪酸を分析した(ガスクロマトグラフ質量分析と放射性炭素同位体分析による)結果、大量の乳脂肪分が検出され、乳製品を加工していたのではないかと結論付けました。それは現代のチーズ濾過装置にかなり形のよく似た漉し器のようだったので、その乳製品をチーズと解釈したわけです。
図は穴の開いた土器片
チーズ生産過程で作られる乳清(にゅうせい=乳牛乳から乳脂肪分やカゼインなどを除いた、ラクトースを含む水溶液)と、固形物(=カード=凝乳)を分離する為の土器として、相当意義があります。
さらに穴の開いていない深鉢の破片からも、乳の残滓が見つかったので、漉し器と共に使われていたのかも知れません。
他にも穴の開いていない壺に反芻動物遺体の脂肪が見つかり、肉を調理していた事も推察されました。また瓶の形をしたものの中に蜜蠟(=ミツバチの巣を構成する蝋を精製したもので、用途してはワックス、接着剤)も存在したので、水をいれて密閉した瓶である可能性も出て来ました。
これはかなり大きな発見です。濾し器を伴う異なったタイプの土器が、初めて発見された事になるからです。
新石器時代酪農で得た乳は短期間しか保存が出来ません。そこで乳を加工し、長持ちするチーズを作ったとすれば、これはかなり重要で、人々が日々移動しながらも安定した食物を確保出来たという事になるでしょう。なぜなら当時ラクトースの入った乳は人間には耐えられないものだったからだそうです。
研究チームはこの土器片が発掘された遺跡の年代を紀元前およそ5,000年としています。しかし年代測定法には誤差がつきものです。聖書によれば、牧畜を始めたのは、あのアダムの次男アベルからです。冒頭の聖句にある通りです。それは紀元前4,000年位前の事で、その時にはおそらくアベルはチーズを作る技術を主なる神から得ていたと思われます。
アベルは兄カインによって殺されましたが、チーズ作りの技法は、そのカインの子孫に受け継がれたようです。ヤバルという人が「家畜を飼う者の先祖となった」(創世4:20)とあるからです。
現在のポーランド、ノアの洪水後の3人の息子たちのうちヤペテの子孫にあたるアシュケナズに系譜を辿れるアシュケナージ系ユダヤ人が住んでいます。そして今も山羊の乳を原料としたチーズ作りが盛んです。
http://poane.blog114.fc2.com/blog-date-200911.html
チーズの種類は千を越えると言われていますが、あなたはどのチーズが好みですか?