ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

万引きと言う病

 「盗んではならない」(出エジプト20:15)。

2013年1月8日の朝日新聞社会欄では、「万引き、という病」という題で、記事がありました。

 それによりますと、2010年の万引き認知件数は約14万件(*ネットのサイトでは15万件に近い)、さらにお店からの通報がないまま(警察沙汰にせず)処理された件数を含めると、さらに多くなります。その被害総額は推定4,615億円にも達するそうです。
 http://todo-ran.com/t/kiji/13999のサイトを見ますと、万引きが多いのは東京、兵庫、京都、岡山など大都市であるのは当然でしょうが、第一位が香川県、最下位が大阪府とはちょっと意外でした。香川県は大型店舗が多いからだそうです。
 一方万引きをする主な人々は、20年位前は少年でした。しかし今はその数がぐっと減り、実際には「大人の犯罪」となっているそうです。朝日の記事を見ながらの私の勝手な想定では、それは決してお金に困っている人々ばかりではないという事です。トップの取材記事では、何と30代の若い女性医師が取り上げられています。しかも累犯10年にも達するとの事で、どうしてかなと首を傾げながら記事を読みました。
 彼女は医師ですから当然幼い時から塾通いで忙しかったでしょうし、親の意向で良い医学部へと猛勉強していたようです。その反動が研修医の時代に生じ、食べて吐いたりする過食症に陥っていました。彼女には大きなストレスがかかっていたのです。そしてそれを終えて医者になり、給料をもらうようになると、それを吐く為のものに使いたくないと、バッグにたった一つのお菓子だけ盗んだ事がきっかけで、毎日多くの店でそれを繰り返すようになったそうです。
 なぜそうなるのかを赤城高原ホスピタルの院長武村道夫さんが解説しています。それによりますと、万引きはギャンブル依存症に近いという事で、「『盗りたい』という衝動を抑えられず、続けるうちに習慣化し、麻痺してしまう」のだそうです。
 結局彼女は数年前の数百円の万引きで逮捕され、執行猶予つきの有罪判決を受けました。実刑ではなかった為に引き続き万引きの衝動は生じます。そこで弁護士の勧めにより病院に入院して治療を受ける事になりました。ちなみに有罪判決で刑務所に入る人の3割をこうした窃盗犯が占めているそうです。上記武村院長の話では、経済的には全く困らないのに、少額の万引きを繰り返し悩んでいる人は、刑務所での教育より、病院での治療のほうが効果があると言っています。
 東京都内での外来で診察すると、窃盗壁患者は女性が多く、しかも大企業の社員、教員など高学歴で責任の重い仕事に就いている人の数が少なくないとの事です。
 そうしたお金に困らない人々の窃盗、私のようにビンボー(貧困ではない)でも全くそんな衝動など生じない者の目から見ると、一見奇異に見えますが、聖書からすれば、誰にでも起こり得るのです。冒頭の聖書箇所は出エジプト記に出て来る有名な十戒に含まれている短い聖句です。
 「盗んではならない」という律法の規定があるので、罪にブレーキがかかります。しかし「罪は、何かの律法がなければ、認められないものです」(ローマ5:13)とあるように、日本の刑法235条が「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と謳っても、「盗んではならない」という表現がないから、個人は罪がある者と認めないのです。
 そこが欧米の如く聖書に立脚しているか、何ら強い規範の存在しない日本との大きな違いかも知れません(尤も欧米でもキリスト教信徒が大幅に減り、どこまで律法の規定が浸透しているものやら)。
 この窃盗癖、治療は本当に難しく、実刑を受けて収監されても、刑期を終えると又もとに戻るそうです。また実刑判決で衝撃を受け自殺した女性の例も挙げられていました。日本のリッチな階層にこうした犯罪が多いのは納得が行きます。