ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

生活保護申請却下の埼玉県三郷市地裁で敗訴

 「あなたがたの土地の収穫を刈り入れるとき、あなたは刈るときに、畑の隅まで刈ってはならない。あなたの収穫の落ち穂も集めてはならない。貧しい者と在留異国人のために、それらを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、【主】である」(レビ23:22)。 
 旧約の時代、貧しい者の為に収穫の落穂が残され(絵画落穂拾いで有名)、神の御命令によるトリクルダウン策(経済が発展すれば、富裕層が富んで格差は拡大するかもしれないが、最終的に貧困層も豊かになるという経済学での考え方=はてなキーワード)で、貧しい人が飢え死にするような事はありませんでした。

 2013年2月21日の朝日新聞に、「生活保護渋る窓口、違法」という題、「さいたま地裁三郷市に賠償命令」という副題で記事が書かれていました。
 生活保護費と言えば、あの悪名高い片山さつき自民党議員が、吉本興業所属の漫才コンビ次長課長」の河本準一氏の母親の生活保護不正受給疑惑で、厚生労働省の担当課長に調査を依頼したあたりから、次第におかしな方向に向かい始めたと思います。

 安倍内閣になってからその引下げが1月16日、厚生労働省社会保障審議会の生活保護基準部会から公表されました。これを受けて政府は1月27日生活扶助費を総額で740億円=約7.3%、減額する方針を発表しました。
 それにより受給世帯の96%は保護費が減る事になります。試算してみると、40代夫婦と小、中学生の4人世帯を想定した場合、実に月2万円も減るそうです。
 それについては朝日新聞の声欄などで、生活が出来なくなるといった悲鳴にも似た訴えが続々と寄せられていました。一方その受給者数は2月に入っても最多を更新する日々が続いています。新たに申請受理された方々は、それまで一生懸命仕事を探しておられたと思いますが、実際にほとんど決まらないというのが、私自身の千葉県東葛地域での実感です。それで食べてゆけなくなるなら、最後のセーフティネットである生活保護を受けるのは、当然の権利であるはずです。
 しかし自治体の窓口はこうした困った庶民の味方ではありません。就労や親族扶養を強く求め、事実上申請を却下するような窓口規制が常態化しています。私のマンションで賃借している40代の若者も、会社をクビになってから全く仕事がなく、このままでは餓死寸前というところで、私が湯浅誠氏や宇都宮健児氏らの相談所などを教えてあげて、(それが功を奏したかどうかは分かりませんが)やっと松戸市は申請を受理し、すぐ支給されました。独身男性で食べる事がやっとの支給額でした。「すぐやる課」で有名になった松戸市ですが、今や有名無実となっています。
 そんな中でのさいたま地裁の判決は朗報でした。訴えたのは三郷市に住んでいた夫婦と子ども3人の家族です。夫が白血病で倒れ収入が途絶えた為、生活が出来なくなった為、生活保護を申請したのですが、三郷市生活福祉課は妻に働く事と、身内の援助を受ける事を繰り返し勧め、受理しようとしませんでした。こうした困窮家族の苦しさを推し量れない役場の対応に怒り心頭ですが、地裁の中西茂裁判長は、こうした弱者切り捨ての災害便乗型資本主義教義に抗して、あえて「生活保護を申請する権利を侵害した」と認め、市に賠償命令を命じる判決を下したのです。原発訴訟が次々と敗北して庶民が挫折感を味わっている時、これは快挙と言えるのではないでしょうか。
 コメントを出した首都大学東京の岡部卓教授は、「窓口規制が職務上の義務違反であることを司法の場で明らかにした」と、この非常に意義ある判決を評価しています。その三郷市ですが、控訴手続きに入ったというようなニュースはまだありません。