ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

紅海と死海を結ぶパイプライン

 「ヒゼキヤのその他の業績、彼のすべての功績、彼が貯水池と水道を造り、町に水を引いたこと、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか」(列王第二20:20)。

 2013年2月27日のネイチャ誌ニュースサイトでは、「紅海と死海を結ぶ計画に対して、環境への懸念が頂点に達した」といった題で、記事が書かれていました。

 紅海のアカバ湾からパイプラインで、毎年20億立方メートルの海水を、縮んでいる死海まで運ぶという野心的な計画が出されました。死海は内陸の最も低いところにありますから、パイプラインによる下降流で水力発電所を通し、今度はそれで得られた電力を海水淡水化プラントに供給し、そこから生じた毎年8億5千立方メートルの淡水を、乾燥してしまった地域に送り込むというものです。そのプラントで出た塩水は、既に塩の湖になっている死海に排出し、毎年1メートル以上もの比率で蒸発している水を再び満たす事になります。
 その計画遂行の費用は米ドルで100億ドルになるそうです。それには死海から淡水化した水をポンプでヨルダンのアンマンまで組み上げる施設の為の費用も含まれています。アンマンまで200キロ、標高で1,000メートルも違います。
 それに対して世界銀行はヨルダン、イスラエルパレスチナ人の占領区域からそれぞれ2つの都市を選び、公開討論会を開催しました。銀行側は3つの報告を提示しましたが、国際コンサルタント会社である環境資源マネージメント社による環境アセスメント(=環境影響評価)と、社会アセスメント(社会的影響評価)では、「起こり得る全ての深刻な影響は、受容可能なレベルまで軽減される」と述べられています。しかしそれには1つの例外がありました。もし4億立方メートル以上の海水が死海に追加されると、その水塊はアオコの異常発生や石膏の結晶で悩まされ、予測が困難になるというものです。ですからその導管に反対している人々は、紅海と死海の水の混淆は、その計画における最大の「躓きの石」となると言っています。
 ヨルダンは淡水が最も得られにくい国の1つで、この提案に賛成ですが、それにはシリアでの紛争で避難して来た人々も25万以上いますから、計画が挫折するとその影響は深刻になります。
 またパイプライン建造に対する巨額の支出も、寄宿財政を抱えている国々にとっては大問題ですが、それ以上にこの地域の政情が障害となります。
 この計画にはヨルダン、イスラエルパレスチナ暫定自治政府が関与しています。しかしこの協定締結にはイスラエルパレスチナに対して、到底認めないところとなっています。それはさらにそれらの国を取り巻く国際社会でも同じですから、どの国も協定が準備万端になるまで、資金を提供しないでしょう。
 また世界銀行は米国に拠点があり、その歴代総裁も米国人との事で、この一大プロジェクト、他にも隠れた狙いがあるのでしょうか?