新冷戦時代のロシア、中国、米国と日本
「戦争や暴動のことを聞いても、こわがってはいけません。それは、初めに必ず起こることです。だが、終わりは、すぐには来ません」(ルカ21:9)。
「疑う人は、風に吹かれて揺れ動く、海の大波のようです」(ヤコブ1:6)。
2014年5月22日のブルームバーグサイトに、「冷戦の戻りで安倍のロシア戦略はめちゃめちゃになった」という題の記事がありました。以下はその要約です。
安倍氏はロシアのプーチン大統領とは過去5回も会見しており、個人的な繋がりはあるのでしょう。
昨年末の靖国神社参拝で中国と韓国は激しい反発を見せ、緊張が高まって両国首脳との会見は、オバマ大統領が韓国の朴大統領との会見を仲介した為、形だけのものがあっただけで、いまだ実現していません。
そうした中、安倍首相は中国の軍拡路線に脅威を感じ、急速にロシアに接近しました。「日本とロシアはソビエト連邦が1945年8月の日本降伏直前に戦争を宣言し、4島を捕獲して数千人の日本人住民たちを駆逐した後、まだ第二次世界大戦の平和協定にサインをしていません」。ですからこの領土問題に決着をつける事が第一目標でしたが、次に3年前の福島第一原発における原子炉の破壊で新しい燃料の供給が必須だと見て、エネルギー協定批准を狙いました。それは勿論中国牽制もあったでしょう。
ところがロシアは安倍首相にとって思っても見なかったウクライナ占領に向かいました。これが題の如く、「安倍のロシア戦略はめちゃめちゃになった」理由です。そこで安倍首相は良く考えもせず、知恵も働かさず、先進6カ国がロシア経済制裁を決めた時、それに加わってしまったのです。「プーチンに対する阿倍の求愛は…彼がG7諸国によるロシア懲罰に味方した為終わりました」。その為「秋に計画されていたプーチンの日本への訪問は、現在危ぶまれています」。
プーチンはどうしたでしょうか?真実を探すブログ(http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2630.html)によれば、日本は当てにならないので、彼に「中国との同盟を決断させてしまった」ようです。
彼は急速に中国との絆を深める方向に傾きました。そして5月20〜26日、中国と合同海軍演習を日本に近い東シナ海で実施しました。また「ロシアは天然ガスを中国に供給する事になりました。それは二国間の新たなパイプラインを通してであり、次期30年間にわたる燃料輸出で、1千億ドル獲得への道が開かれます」(*他サイトでは四千億ドルとも。日本には痛手)。
この同盟関係で、二国は日本に対して「第二次世界大戦の結果の改定は受け入れ難いという考えを共有し」ました。安倍首相の目論みは遠いかなたに向かったかのようです。22日のブルームバーグサイトはここまです。
さらに5月30日のブルームバーグサイトでは、なんとイスラエルの首相ネタニヤフが中国の副首相劉延東をエルサレムに招いて会談を行った事を伝えていました。技術から食糧まで貿易が主体で、イスラエル経財相は「イスラエルは東に向かう。その経済的資源をインド、アフリカ、中国、中国、中国へと変更した」と、三度も中国への進出を強調していました。
それだけではありません。諜報活動についてのプロである元外務省の佐藤優氏は、5月12日に日本を訪問したネタニヤフ首相が安倍首相と共同声明を出した事を伝えていました。最初東京新聞から、そして文化放送「くにまるジャパン」サイトからです。その恐るべき「隠された」狙いは、http://monsoon.doorblog.jp/archives/54145025.htmlに詳しく載っています。共同声明は朝日の報じたイスラエルとパレスチナとの和平仲介どころではありません。かえって安倍政権は「イスラエルとの軍事協力を進めつつ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコ、バーレーン、カタールなどとも『安全保障面での協力強化』と『原発売り込み』を図る」つもりです。それはイスラエルに敵対する諸国の反発を招くものとなりました。
6月1日の東京新聞は安倍首相が埒致再調査で北朝鮮に接近するのを、米韓が警戒している事を伝えていました。安倍首相が中国と対立するベトナムにテコ入れする記事もありました。
こうした地政学的動向を見ますと、日本はもはや憲法9条の下で保たれて来た平和が、安倍首相の積極的軍国主義で崩れ、どこからでもミサイルが飛んで来そうな危うい国に変質しつつある事を実感します。あちこち揺れ動く安倍政権を打倒し、平和憲法を主体とする世界平和の追求を図る事こそ、日本の採るべき道です。
*地政学に詳しい方々、他に対立する国々や諸情報をコメントで教えて下さい。私の知識は乏しいので。