ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ロバート・ライシュ「外国人嫌いが既に始まっている」

 「在留異国人を苦しめてはならない。しいたげてはならない。あなたがたも、かつてはエジプトの国で、在留異国人であったからである」(出エジプト22:21)。
 2013年4月23日、カリフォルニア大学バークレー校の教授であるロバート・ライシュ氏が上記の題で論文をハフポストサイトに投稿していました。

 既に大々的に報道されていますが、米国でボストン・マラソン(2013年4月15日)が行われている最中に爆弾テロ事件が発生し、3人が死亡、150人以上が大けがをしました。
 米当局はこの犯人逮捕に全力を挙げ、タメルラン・ツァルナエフ容疑者(死亡)と、弟のジョハル・ツァルナエフ容疑者を特定し、弟は逮捕、殺人の罪などで起訴されました。
 こうしたテロ事件は2001年9月11日の同時多発テロ事件以来の惨事となりました。
 朝日報道によると、この兄弟はイスラム教の信仰者で、彼らの礼拝堂モスクに出席していましたが、そこの説教師がキリスト教イスラム教を並べる形で、穏健で親米的な説教をした為それに反発、次第に過激になっていったようです。ジョハル容疑者は9歳の時米国にやって来て、米国国籍を取得していた人です。
 ちょうどオバマ大統領が移民法改正案を議会に提出しており、不法移民が様々な手続きを経てアメリカ市民になる道を開く改革を標榜していた為、国境警備の強化がまず先とする共和党と鋭く対立していました。
 ライシュ教授によると、この爆弾テロ事件を受けて、早速共和党ランド・ポール議員が、米上院多数派リーダーのハリー・レイド議員に対して、移民法を考え直すよう強く促しました。この事件は現行制度の弱点をさらけ出したものであり、この不備を修正しなければ、仕事が出来なくなるという内容の文書でした。
 また同党のチャック・グラスリー共和党上院議員も、同様な考え方であり、この容疑者の調査により、システムの弱点が解明されるだろうと言っています。
 それに対してライシュ教授は、この移民法改革は国家安全保障についてのものではなく、1千1百万と推定されている米国在住の登録されていない移民の為に、市民権への道を開くものだと主張しています。それは平和に、国外退去の恐れを抱く事なく居住出来る事を周知させるものでもあります。
 勿論その道は簡単なものではなく、登録しない者への罰則も当然含まれますが、公平で理に適ったものであるべきだと氏は言っています。
 他の共和党議員の中には、容疑者は「敵の闘士」であり、刑事司法制度の保護の枠外で質すべきだとの過激な発言をする人々もいます。さらに容疑者はチェチェン出身と思われ、過激派アル・カイダとの繋がりがあると主張する共和党議員もいます。そんな証拠もないのに。
 2001年から始まった「テロへの戦い」は、今や際限のないものとなっています。もしアメリカ市民を逮捕し、無期限に拘留し、弁護士もつけず、公平な裁判の保障もなくなるとすれば、どこでその終焉を迎える事が出来るでしょうか?
 ボストン事件の恐怖は現実ですが、それが喚起した外国人嫌いへの恐れはそうではありません。上院議員たちは庶民の激情を和らげる義務感をしっかり抱くべきです。
 移民法改正は必要であり、私たちは市民の自由を守らなければなりません。この目標は米国人を守る事と相いれないものではありません。