ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

人間の遺伝子は特許がとれない

 「それはあなたが私の内臓を造り、母の胎のうちで私を組み立てられたからです」(詩139:13)。
 2013年6月14日のワシントンポストサイトでは、上記の題で、記事を紹介していました。
 6月13日の最高裁判決(判事全員一致)は、医学や生命工学の将来を方向付ける判決となりました。クラレンス・トマス判事は「米国のバイオ医薬品会社であるミリアド遺伝子会社が重要で有用な遺伝子を見つけたのは確かであるが、遺伝子の分離は発明行為ではなく、同社は何も創造していない」という判決を下しました。

 争点となっていたのは、ミリアド社の所持しているBRCA1,2(breast cancer susceptibility gene 1,2=乳がんの感受性遺伝子=がん抑制遺伝子の一種)の特許を巡るものです。
 BRCA1,2は乳がん及び卵巣がんに関連しており、その特許認可により、遺伝子分析検査はミリアド社だけが提供出来ました。その検査費用は1回3千ドルもします。ミリアド社はそれで莫大な利益を上げていました。
 ちなみにBRCAの検査で陽性になった女性は、生涯で乳がんになる確率が82%高く、卵巣がんになる確率が44%高くなるそうです。陽性になるのはこの遺伝子に突然変異を持つ患者さんです。
 ですからただでさえ医療費などが高く貧困層の多い米国では、こうしたがんにかかりやすい家系の女性が、気軽に検査を受ける事は困難でした。
 そこで米国自由人権協会や研究者、医師、患者らが、特許対象の遺伝子を使用した今後の研究・調査の妨げになるとして、先の控訴審判決を覆すよう最高裁に申し立てていました。
 その勝訴でこの協会を代表し原告の一人となっているリスベス・セリアニさんは、それによって人間の身体の一部が「もはや私的企業により人質にとられない事を意味します」と言っています。
 米民主党全国委員会議長で下院議員のデビー・ワッサーマン・シュルツさんは、ミリアド社の検査を受け遺伝子突然変異を持っている事を告げられた後、両乳房切除手術、子宮切除手術と、七回手術を受けました。しかしその特許がある為、この手術に関して別の医師の診断を受ける事が出来ませんでした。これも悲劇でした。右下図ミリアド社。

 一方ミリアド社も一部勝利を得ました。それは相補的DNA(=complementary DNA=cDNA=メッセンジャーRNA から逆転写酵素を用いた逆転写反応によって合成されたDNA)でした。それは自然発生ではなく人工的なものなので特許を認められたのです。それにはBRCA分析検査に関わる24の特許も含まれています。従って今後はこの相補的DNAについては、特許をめぐり激しい競争が繰り広げられてゆくでしょう。
 神が組み立てられたDNAについて、勝手に人間が介入し、得られたものを共通の財産とするのではなく、特許で守りつつ、あくどい利益をあげようとする米国企業の何と多い事でしょうか!