ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

運動後脂肪細胞にエピジェネティックな変化が起こる

 「さて、幼子は成長し、その霊は強くなり、イスラエルの民の前に公に出現する日まで荒野にいた」(ルカ1:80)。
 2013年7月4日のサイエンスデイリサイトに、「運動後脂肪細胞にエピジェネティックな変化が起こる」といった題で、論文が紹介されていました。
 既にふれた事がありますが、「エピジェネティック」とは、「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化の」という意味です。
 スエーデンのルンド大学のシャルロット・リング博士らは、私たちが身体運動を始めた時、脂肪細胞のエピジェネティックな段階でどんな事が生じているのか、初めて説明しました。大学の糖尿病センターで准教授をしている博士は、「私たちの研究は運動のプラス効果を示しています。なぜなら身体の中で脂肪の貯蔵に影響を与える遺伝子の、エピジェネティックな基本型式(模様)が変化するからです」と言っています。
 身体の細胞はDNAを含み、それに諸々の遺伝子も含んでいます。それを私たちは受け継ぎ、変える事は出来ません。けれどもその諸々の遺伝子には、「メチル基」というものが付加し、それが「遺伝子発現」として知られているものに影響を与えます。その諸々の遺伝子の活性化・非活性化の如何に関わらずです。メチル基は運動、食事療法、生活様式により、様々なやり方で影響を受けます。それは「DNAメチル化」として知られる過程においてです。それがエピジェネティックスと呼ばれる学問です。比較的新しい研究分野で、近年ますます注目を浴びています。

 DNAメチル化をもう少し詳しく見て行きますと、DNAの塩基配列(アデニン<A>、チミン<T>、グアニン<G>、シトシン<C>の4種類)のうち、シトシンの次にグアニンが現れる2塩基配列が比較的頻度の高い領域の事をCpGアイランドと呼び、シトシンとグアニンの間はホスホジエステル結合(p)になっています。例えばTGCTCCGGGGという塩基配列の一部でCGという配列が多くみられる領域がCpGアイランドと呼ばれます。その部分で炭素原子(C)にメチル基(−CH3)が付加する化学反応をDNAメチル化と言います。
 研究者たちは35歳前後で、全く身体活動の経験がなく、やや肥満気味、でも健康な23人の脂肪細胞内で、どのようにメチル化が変化するのかを研究しました。彼らは、運動として6ヶ月間エアロビクス教室などへと通ってもらいました。予定では彼らには週3回でしたが、実際には平均1.8回しか通ってくれませんでした。
 しかしDNA総体の中で48万か所の分析をしたところ、個人が持っている2万〜2万5千の遺伝子のうち7千の遺伝子の中で、エピジェネティックな変化が生じたのが分かりました。研究者たちはさらに2型糖尿病や肥満と結び付く遺伝子のメチル化を特に観察しました。
 すると糖尿病や肥満でも遺伝子の変化が見つかりました。それは身体活動を行った結果、病気の危険性については、DNAのメチル化の変化は、そうした遺伝子が影響を与える仕組みの一つとなっている事が示されたのです。
 実験室ではその発見を確かめる事が出来ました。即ち或る遺伝子を非活性化する事で、そうした遺伝子の発現を減らしていました。それは脂肪細胞の脂肪貯蔵の変化をもたらしたのです。それゆえ運動は脂肪細胞内でエピジェネティクス的な変化を促進させ、健康によい影響を与えることが示された事になります。言い換えると、運動によるDNAメチル化亢進で、糖尿病や肥満に関わる遺伝子の発現が低下したという事です。