ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

『ニッポンが変わる、女が変える』(上野千鶴子著)から考えた事

 「しっかりした妻をだれが見つけることができよう。彼女の値うちは真珠よりもはるかに尊い」(箴言31:10)
 SPYBOYさんのブログで紹介された上記の本を私も読んでみました。上野氏が12名の気鋭の女性たちと対談したものです。話の内容は3・11福島原発を巡ってのものです。
 上野氏はいつもながらの鋭い切り口で、12名の女性たちに問いを発しています。加藤陽子氏、浜矩子氏などは堂々たる受け応えでした。そこで多少とも弱点を突かれた形となっている国谷裕子氏を取り上げて考えてみました。国谷氏はNHKを経て、『クローズアップ現代』のキャスターを務めています。私はテレビが無いのでよく知りませんが。

 国谷氏は大震災の時都内にいました。
 上野氏は『クローズアップ現代』というテレビ番組を、問題を掘り下げて行くのが狙いで、「見るに堪える数少ない番組の一つ」と評価しています。そこで早速上野氏は国谷氏に原発再稼働について、キャスターは自分の意見を言ってはいけないのかどうか尋ねました。こうした問いは全共闘時代には良くされました。第三者的な立場は許されない、あなた自身はどうなのか?という私たちに挑んで来る質問です。
 国谷氏は「私個人の主観や意見は出しません」と答えています。熱い思いだけで抑えています。するとフラストレーションが溜まって行きますが、その事を問われると、「フラストレーションを感じていても自分の意見を出さないのがキャスターだと思っています」との答え。右や左に対して公平さを保つ為だと言います。そこで上野氏は「両論併記ではあるまい、と思いますが」とたたみ掛けます。すると「私自身の立場は鮮明にはしていません」と逃げています。ならば「一市民として意見を述べられては?」との問いに、「それが結果として番組と結びつけられるということを恐れますね」と正直に答えています。
 NHKのような巨大組織は男の社会、そこに女性が3割上位に入ると違って来るという国谷氏の意見には、上野氏はそれは東大という巨大組織の体験から難しく、むしろそこに見切りをつけた人が「創り出す新しい組織や活動」に期待を寄せています。
 では男はどうか?7月11日のハフポスト・ジャパンサイトで、経産省を辞めた古賀茂明氏と、NHKを辞職せずにはいられない立場に置かれた堀潤氏との対談がありました。どちらも男の社会からの陰湿ないじめに遭った人です。
 堀氏は3・11まではNHK内部でも比較的自由に個人の意見を述べていました。ところがそれ以後ガラッと様相が変わります。堀氏は「NHKは権威主義なので、選ぶ解説者も権威主義的で、いわゆる原子力関連の学会の長などの大御所を呼んでくる」という事態を経験しました。その中堀氏は山崎淑行という上司の記者の単刀直入な発言に刺激を受け、ツイッター原発情報を流しました。それらが非常に大きなバッシングを受けました。二人はクビを覚悟しました。しかし「ここでクビになったら家のローンが払えないとか、家族が路頭に迷うとか、再就職できないとか、生活に密着した悩みが、笑い話じゃなくて、本当にむくむくと自分の頭の中に湧き起こってくるわけです」と、これまた正直に告白しています。
 クビになると、昔と違って全くと言ってよいほど、次の受け皿がありません。相当な覚悟で発言しなければなりません。昔の聖書の預言者たちもそうでした。
 大組織に自己変革の機運が全くない時、そこに入った人々の知恵と、辞職覚悟の大胆な発言が、これからもっと問われて来るでしょう。私はかつて小企業でたった一人反乱を起こしてクビになった時、随分緊張した事を今でもよく覚えています。