ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

肥満は私たちの味覚を作り変えるのか

 「あなたのみことばは、私の上あごに、なんと甘いことでしょう。蜜よりも私の口に甘いのです」(詩119:103) 
2013年11月13日のプロスワン誌に「食事に誘発された肥満は、末梢の味覚受容細胞の反応を減らす」という題で、論文全体(英文)が公開されていました。サイエンスデイリサイトで論文の紹介がされています。「肥満は味覚を再形成するのか」といった題です。
 研究したのは米国ニューヨーク州立大学バッファロー校の生物学者たちです。

 C57BL/6というマウスの系統が用いられました。これは高脂肪食の中に置かれるとすぐ肥満になるマウスです。同腹子(=1回の分娩で生まれた複数の子同士の事)から、高脂肪食を与えた25匹のマウスと、正常な食事を与えた25匹のマウスを比較してみました。この観察は10週間続けられました。すると高脂肪食のマウスは、対照群の正常な食事のマウスより、雄で30パーセント、雌で40パーセントも体重が増えていました。
 研究者たちはマウスの末梢味覚受容体細胞(=味蕾)で、食べ物を受け入れた時の反応に注目しました。カルシウムシグナリングという、こうした細胞の機能を制御するカルシウムイオン(Ca2+)依存性の情報伝達経路を調べたわけです。それはある種の味覚を細胞が"認識"した時、カルシウムレベルが細胞内で一時的に上昇するという変化が生じますが、彼らはそれを見て測定しました。それにはカルシウム画像化法(カルシウム・イメージング=カルシウムイオンと結合して蛍光を発する色素を使用して細胞などを着色し、画像情報として観測可能にする手法)が使用されました。
 結果は准教授のキャスリン・メドラー博士によると、肥満になったマウスでは、末梢味覚受容体細胞自体が肥満による影響を受けており、甘味刺激に反応する味覚細胞が少なくなってしまい、甘味に反応しにくい事が分かりました。一方「うまみ」を考えると、それに対する両群のマウスの味覚細胞の反応は差がなかったそうです。また「苦味」も反応が鈍い事が分かりました。

 これまで肥満の人々は甘い物をやたらに欲しがるけれどもが、痩せた人ほどには甘味を感じないという事が分かっていました。ですから今回の研究では、肥満のマウスは甘味を感じられない味覚異常があり、そのために痩せたマウスより多く食べるのではないかという事が推測されました。右図味覚細胞の分布。
 人間でも太った人は痩せている人と同じ満足感を得るのに、より多くの食べ物を必要とするのでしょう。
 味、食欲、肥満との相互関係をもっと知る事が大切で、それによって健康的な食事を促す新しい方法がもたらされるかも知れないと、メドラー博士は期待しています。