ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

安藤忠雄氏との決別

 「だれでも、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされます」(マタイ23:12)。

 私は建築家安藤忠雄氏の特異な建築への取り組み姿勢から、ずっとファンになっていました。尤も実際見た建築は、姫路の北にいた頃、教会の子どもたちと遊びに行った「兵庫県立こどもの館」と、「姫路文学館」だけです。
 安藤氏が大学の建築科に行っておらず、独学で努力して学び、世界でも名の知れた建築家になったのは、既に多くの人が知っています。その生い立ちから建築家になるまで、またその作品群は、氏の数十点の著作から知る事が出来ます。『建築を語る』 、『連戦連敗』、『建築家 安藤忠雄』など、貪るように読み、コンクリート打ちっ放しの簡素な建築物にほれ込んだものでした。
 特に教会に集う者として、1989年私が腸の大手術をしていた頃建った『光の教会』は、その本を読みながら、こんな教会堂が出来たらと非常に感動したものでした。私もその建築物が建っている大阪府茨木市にも居た事があるので、余計そう思いました。
 初期の「住吉の長屋」もそのユニークな造りに、氏の独創性を感じたものでした。
 以後氏はめきめきと頭角を現わし、ハーヴァード大学客員教授などを経て、東京大学工学部の教授まで勤め上げました。世界中に氏の手がけた代表的なものがあります。
 さらに植樹運動も盛んで、大阪中之島に桜、香川県にオリーブを植樹した事でも知られていて、建築物と環境との調和にも気を使っていた人でした。
 しかしそれだけ有名になりますと、上記キリストが言われた事が成就します。氏は明かに慢心していました。周囲の忠告に対して謙虚に耳を傾けなくなりました。
 その最たるものが今度の新東京国立競技場デザイン・コンクールの審査委員長を務めて採択した、ザハ・ハディド氏の設計です。
 これには既に槇文彦氏などが反対し、第四世代と呼ばれる伊東豊雄氏らも反対だけでなく対案をも作成して対抗しました。そうしたささやかな抵抗運動が効を奏し、次第にその建築物に対する反対の声が大きくなっています。ハフポスト時。ジャパンサイトでは、森山高至氏が執拗に批判の声を上げ続け、6月12日には「東京芸大名誉教授の元倉眞琴さんから安藤忠雄氏への手紙」という題で、元倉氏の忠告を紹介していました。http://www.huffingtonpost.jp/takashi-moriyama/letter_b_5486811.html
画像は代官山ブログさんから借用。
 元倉氏はこれまでの安藤氏の実績を評価してから、次に新東京国立競技場建設推進への厳しい批判を投げかけています。「どう考えてもこのプロジェクトはこれまで築き上げて来た貴方の思想、貴方の建築、そして貴方の神話(ストーリー)にそぐわないものです。 樹々を切り倒して神宮外苑を荒らしてしまうことは、ほんの少しの樹木でも守ろうとしてきた貴方の自然観に合わないはずです。あまりにも巨大な構築物は、貴方のいつもの景観に配慮する態度とも合わないはずです。表参道での提案とどのように辻褄を合わせるのでしょうか」。全くその通りです。この文章を読んで、私は安藤氏との決別を実行、書棚にあった氏の本を全て捨てました。
 そして元倉氏は最後に、この案を凍結し神宮外苑以外に場所を設定する事を勧め、「勇気を持って、舵を取り直してください」と願っています。私は五輪自体に反対ですが、次案としてそれに賛同します。都知事舛添氏の判断に注目しています。
 これからは建築家の隈研吾氏の「負ける建築」(*「都心に屹立して巨大さや構造的な強さを誇示する高層ビル群やサラリーマンが多額のローンを組んで購入する郊外の一戸建て住宅などを『勝つ建築』」と言います<*知恵蔵より>)の時代でなければなりません。9・11、そして3・11の崩壊した巨大なコンクリの瓦礫がそれを物語るでしょう。
 *末筆ながら入院に関して多くの方々から励ましを、退院に関して祝福を頂き、改めてここで深甚の感謝の意を表明します。