ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

子ども・被災者支援法の骨抜き

 「無慈悲、憤り、怒り、叫び、そしりなどを、いっさいの悪意とともに、みな捨て去りなさい」(エペソ4:31)。
 日野行介氏による第二弾の告発本『被災者支援政策の欺瞞』を読みました。暴言ツイッターで悪名高くなった、「子ども・被災者支援法」担当の復興庁水野靖久参事官の特定と、政府によるこの法の骨抜きを執拗に追っています。
画像はhttp://ch.nicovideo.jp/masayukisatomura/blomaga/ar258930からお借りしました。
 この子ども・被災者支援法は、福島原発の被災者支援を目的としたもので、2012年6月21日に成立しました。特に自主避難している人々や、被ばくした子どもたちを救うべく、これまでの支援が足りない部分を補うのが主目的でした。しかしこの法は理念だけを盛り込み、基本方針案は復興庁に委ねられました。それでも成立当時は大いに歓迎されました。
 それが約1年経過しても公表されず、2013年6月13日、毎日新聞は水野参事官の暴言ツイッターと共に、復興庁が本気でこの法案に取り組んでいるのか疑問視する記事を載せました。
 この基本法が先送りされている理由の一つは、政府が決めた年間20ミリシーベルトを下回る地域で、新たな基準を設定する事の困難さでした。その為この会議に新たに原子力規制委員会が加わり、さらに経済産業省を主体とする支援チーム、環境省も参加し、各省庁間の暗闘が続いていました。
 2013年8月30日復興庁は初めて基本方針案を発表しました。しかしそれは最初の理念を大きく外れ、福島県及び他の県の被災した住民を大いに失望させました。つまりそこには線量基準は盛り込まれず、対象地域を福島の中通り浜通りにある33市町村に限定し、線量の高い宮城県丸森町、千葉県の東葛地域(柏、松戸、流山等)などは対象から外してしまいました。当然県外自治体からの厳しい批判が湧きあがりました。
 一方この基本方針とは別に、「早期帰還・定住プラン」なるものが2013年3月復興庁から出され、年間積算線量20ミリ―シーベルト以下の避難指示解除準備区域で避難指示を解除し、住民の早期帰還を促進する事になりました。そして住民を安心して帰還させる方途として、新型個人線量計を持たせ、「自己責任の名のもとに、汚染されている村や町に帰還させるシナリオが作られ」(学習院大学赤坂憲雄教授)ました。
 この年間積算線量20ミリシーベルトについて、早大毎日新聞のアンケート調査が行われました。早大の調査では事故前の線量と、年間1ミリシーベルト以下を合わせ、選んだ人々は65〜70パーセントを占め、20ミリ―シーベルト以下は僅か2〜6パーセントでした。一方毎日新聞でも1ミリシーベルト以下が66パーセント、20ミリシーベルト以下は5・8パーセント程でした。日野氏は「もはや避難者の意思は明白というしかない」と断言しています。
 ところで経産省支援チームが依頼し、田村市都路地区、川内村飯館村において、新型個人線量計で実験調査してみたところ、その結果は公表されませんでした。想定外の線量の高さの為だったようです。
 *事実が封印されたまま、田村市都路地区の東部で2014年4月、最初に避難指示が解除されました。しかし6月6日の河北新報によれば、戻った住民は23パーセントほどでした。次いで10月1日解除となった川内村ですが、11月1日の福島民報では、主として65歳以上の被災者が帰還している為、全体の帰還率は50パーセントを越えています。
 これからも解除地区が徐々に増えて行きますが、年間積算線量20ミリシーベルト以下という値を既成の事実化しようとする意図の下、果たしてどれほどの若者たちが市や村に帰って来るでしょうか?