更地だらけの浪江駅前通り、そして大熊、双葉
「あなたのうちのある者は、昔の廃墟を建て直し、あなたは代々にわたる礎を築き直し、『破れを繕う者、通りを住めるように回復する者』と呼ばれる」(イザヤ58:12)
新型コロナウイルス騒動で、自宅待機の日が多くなった。それで感染を警戒しつつ、3月2日車で南相馬市中心街まで、一泊予約で行って来た。念頭に置いていたのは、福島「復興」の事である。残念ながら宿の関係で、4日に初めて帰還困難区域の一部が解除となる双葉町は、中まで入る事が出来なかった。解除地域の地図を後で見たが、本当に一部だけであった。だいたいどこも黄色い点滅の信号だったが、工事車両が入る交差点だけ普通の信号だった。今回浪江との境の双葉側で数か所普通の信号が増え、4日を前に慌ただしい動きがあり、道路も渋滞していたので、赤信号で車内から写真が撮れた。
注意して欲しい。先行解除であっても、人はまだ住めないのである。しかし常磐線全線開通で、あたかも復興と見せかける為に、双葉駅の狭い範囲も解除したのだ。視察出来るのは駅前と、中野地区に至る町道及びその周囲だけである。
大熊町は今回通過した。新しい「大野病院前」の信号が出来ていた。既に役場の近くは一部解除になっているが、常磐線を止まらせるだけの目的で、大野駅と駅前通りを5日に解除した。商店街は荒れ果てたままだろう。ここも新規入居者はいない。
そして南相馬市の手前浪江町に至り、休憩をとった。浪江駅前から114号に向かう道路を歩いてみた。何だか様子が違う。以前訪れた時は商店・家屋は倒壊又は放置状態、3・11当時のままだった。今回は違う。理由が分かった。つまり家屋などを壊して更地にしていたのだ。南相馬市原ノ町駅付近の再開発計画みたいなものは、こちらでは無いから様子見なのかもしれない。故に雨とウイルス関係などもあって、今度も誰にも会わなかった。役場でもらった「広報なみえ」では、人口17,152人のうち、居住人口は1,227人、7パーセントである。まもなく原発事故から9年、アンケートでは戻らないと決めた人の割合は55パーセントである。
ブログはここまでにしておく。ネットで避難した人々の声を拾うと、福島復興なんてまやかしだと言う。県外から移住した私もそう思う。
だから政府筋の宣伝は牽強付会、福島県人なら誰でもそう願うが、事実は真逆だと思う。「暴君」はただ高慢になって、自分の名前を残したいだけだろう。
荒れた市街地を避けて聖火ランナーを走らせようとするのも同じ理屈だ。直線しきい値無し仮説が口にされなくなってからだいぶ経つが、どのような被ばく量であろうと、危険性はゼロにはならない。
一般には年間1ミリシーベルト以下であるが、今度急遽決まった双葉町の聖火ランナーのコースは、帰還困難を無理やり解除してなので、年間20ミリシーベルト以下と想像される。しかし町の大部分は20ミリどころか、50ミリ以上だと思う。だから全解除出来ないのだ。この放射線作業者の基準である年間50ミリシーベルトが、一部解除区域内でもあり得るだろう。いわゆるホットスポットである。9年経過してもやっと年間20ミリシーベルトという事は、年間1ミリシーベルトにするのに、数十年かかる。
グリーンピースジャパンは「住民の方の被ばくリスクを考えると、この年間20ミリシーベルト解除基準は、許すことができません」ときっぱり。そして地道な測定で、ジェイ・ヴィレッジの駐車場付近において、地表毎時71マイクロシーベルトの地点を見つけた。基準値毎時0.23マイクロの300倍である。環境省も認めて、東電に再除染させた。それでも基準値の2倍はあった。私の心もとない計測値も2~3倍はあった。
そんな情報は現在締め出されており、若い聖火ランナーたちは事実に無知だろう。参加して自分の名前を残すのと、生涯リスクを負ったまま過ごすのと、どちらが大切か?声高に言う。聖火ランナーの諸君、今からでも遅くない。自主的に参加を辞退するべきだ!