ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

タックス・ヘイブンとは

 「主は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった」(創世6:5)。
 タックス・ヘイブンという普段私たち庶民には全く無縁な事柄を少し垣間見たいと思い、志賀櫻著『タックス・ヘイブンー逃げていく税金』を読みました。志賀氏はタックス・ヘイブン退治に直接関わった人です。

 著者は序章の最初に、申告納税者の所得税負担率(平成22年度)のグラフを持って来て(上記グラフは平成19年度のもの)、累進課税である筈の所得税が1億を越えると100億までは逆進的である事を指摘しています。なんと不公平な事でしょうか!
 そして年収40億円以上の純資産を持つ富裕層は、なんと3400人、世界で第四位だそうです。彼らはこの巨額な資産の為、節税に苦労しています。そのような彼らがタックス・ヘイブンを利用して租税を回避、ひどい場合は脱税をしています。
 そのタックス・ヘイブンとは何か?ウイキペディアによると、「一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことである。租税回避地(そぜいかいひち)とも呼ばれる」とあります。志賀氏はそこを「魑魅魍魎の跋扈する伏魔殿」と呼んでいます。脱税を働く富裕者、不正を行う金融機関や企業、犯罪組織、テロリスト集団、各国の諜報機関まで群がっているからです。
 そこは三つの特徴があります。1まともな税制がない、2固い秘密保持法制がある、3金融規制やその他の方規制が欠如している。
 そしてそこを舞台に行われる悪事を分類すると、やはり三つ挙げられます。1高額所得者や大企業による脱税。租税回避、2マネー・ロンダリング(犯罪などで上げた違法な収益を、出どころが追求されないよう、きれいな説明のつくマネーに見せかけて表に出す行為。資金洗浄と訳す)、テロ資金への関与、3巨額投機マネーによる世界経済の大規模な破壊。*このうち特に3はが恐ろしいです。
 そして1の大企業では、米国においてはフォード、GE、コカコーラ、グーグルなどが、国内のタックス・ヘイブンであるデラウエア州に本社を置き、節税・脱税を行っています。
 一方日本の大企業などの対外直接投資の仕向け地は1位米国、2位オランダ、3位ケイマン諸島となっています。*ケイマン諸島なんて私たち庶民は、全くと言ってよい程知らないでしょう。日本の富裕層はそこに所得や資産を逃す為、中・低所得者層にそのツケが回り、冒頭の逆進課税が生じます。

 なぜタックス・ヘイブンが存在するのでしょうか?聖書は冒頭の聖句でそれを明らかにしていますが、志賀氏は現代国家で租税負担が重くなれば、それを回避する方法をあれこれと考え始める者が現われるからとしています。ですから志賀氏は「タックス・ヘイブンはその存在自体が害悪である」ときっぱり言っています。
 さらに志賀氏はあまり詳しく述べていませんが、新自由主義を標榜した英国のサッチャーと、このタックス・ヘイブンは切っても切れない関係があるそうです。強欲な英国の富豪たちが、ロンドンに資産隠しと課税回避の為、タックス・ヘイブンのネットワークを作ったとネットにありました。
 *読後感としては、こんなものが存在する為、富裕層はますます太り、貧困層はますます痩せ衰えて行くのだという事を再認識しました。そんな仕組みの一端を理解する為、この本は有益と考えます。