ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

エリザベス・ウオーレンTPP,TPA反対の意見

 「だれでも、自分の利益を求めないで、他人の利益を心がけなさい」(コリント第一10:24)。
 2015年2月25日のワシントンポストサイト意見欄に、「誰もがTPP条項に反対するべきだ」という題で、米国上院の議員エリザベス・ウオーレンが投稿していました。以下はその抄訳です。4月16日の東京新聞でも報じられていました。
画像はウイキペディアより。
 米国はTPP交渉の最終段階に入っています。それはメキシコ、カナダ、日本、シンガポールと他の7つの国々との大規模な自由貿易協定です。だれがそのTPPから利益を得るのでしょうか?アメリカの労働者ですか?消費者ですか?小規模企業ですか?納税者ですか?或いは世界における最大の多国籍企業ですか?
 一つの強力なヒントは、厳重に守られている草案の小さな活字の中に埋もれています。その条項は貿易協定の中でますます共通の機能となっていますが、「投資家対国家の紛糾処理条項』或いはISD条項と呼ばれています。その名は穏やかに見えますが、騙されてはいけません。この途方もない新しい協定にあるISD条項に賛成すると、米国の公平な場をもっと多国籍企業支持へと向かわせるでしょう。さらに悪い事に、それは米国の主権を台無しにしてしまうでしょう。
 ISD条項は外国企業を米国法に挑戦させる事になります。そして納税者の膨大なな支払い分を手に入れる力を持っています。それも米国の法廷に足を踏み込む事なくです。それがどんな仕組みであるか示しておきます。米国が健康と環境への影響の為、しばしばガソリンの添加されている有害化学物質を禁止する事を想像してみて下さい。もしその有害化学物質を作っている外国企業が法に反対したら、通常米国の法廷でそれに異議申し立てしなければなりません。しかしISD条項では、その企業は米国法廷を跳び越し、国際仲裁人委員会に行く事が出来ます。もしその企業が勝利すれば、裁定は米国法廷では異議申し立てが出来ず、仲裁人委員会はアメリカの納税者に損害賠償として数百万ドル、いやもっと数十億ドルも支払う事を要求出来ます。
 もしそれがひどい扱いに見えたら、気を引き締めて下さい。ISD条項は巨大な罰金をもたらしますが、それは独自の判断をする人を雇わないでしょう。かわりにある日高給を取る企業の法律家が代表企業の間を行き来し、次に判決を下すでしょう。たぶんそれは二つの企業の間の仲裁では理に適っているでしょうが、企業と政府の間ではそうではありません。もしあなたが法律家で高給職の法人顧客の立場を守ったり、惹き付けたりしようと気を使うなら、裁判官の座に就くのがあなたの番であるなら、そうした法人企業に不利な判決を下す事があるでしょうか。
 もし巨大企業への傾きが明確に分からなくても、誰がこの特別な法廷を有効に利用しようと考えるでしょうか?国際投資家だけです。それは概して大企業です。ですからもし米国と結託しているベトナムの企業が、米国の最低賃金の増加に異議申し立てをしたいと思ったら、それはISD条項を利用するでしょう。しかしもしアメリカの労働組合が、ベトナムは貿易確約を破ってその企業に奴隷のような賃金を払わせていると思ったら、その組合は訴訟をベトナムの法廷でしなければならないでしょう。
 なぜそうしたいかさまな偽法廷を作り出すのでしょうか?米国の司法組織のどこが悪いのでしょうか?実際何も悪くありません。しかし第二次世界大戦以後、投資家の中には自己のお金を、法体系の頼りにならない発展国にポンと出す事を憂いている人々がいました。彼らは企業がいつか工場を建設し、次に独裁者が現われ、それを差し押さえる結果になるのを眺めているだけになるのを危惧していました。弱い法体系をもった国々に外国投資を促進する為、米国と他の国々はISD条項を貿易協定に含め始めました。
 TPP諸国は弱い法体系の新興経済国などではありえません。オーストラリアと日本はうまく発展した、尊重されている法体系があり、多国籍企業はそうした体系と日々交渉していますが、ISD条項はそうした法廷にも先制攻撃出来るでしょう。
 ISD条項の利用は世界中で増えています。1959年から2002年にかけて、世界中でISD条項の主張は100以下でした。しかし2012年だけとっても、58の事例がありました。最近の事例は、最低賃金を上げた為エジプトを訴えたフランスの企業、日本の福島災害後原子力を廃止する事を決めたドイツを訴えたスエーデンの企業、企業の一部所有する銀行を救わなかった為に、チェコスロバキアを訴えたオランダの企業も含まれています。米国法人もその行動に加わっています。フィリップ・モリスはISD条項を利用して、ウルグアイが喫煙率を減らす意図をもった新しいタバコ規制の実施を止めようとしています。
 ISD条項の主唱者たちはこれまでこの処理が米国を傷つけていないと指摘しています。そして交渉者たちは、TPPの本文分ち合いを拒否していますが、公益を規制する力を保護するもっと大きく、もっと良いISD条項版を含める事を断言しています。しかしISD条項事例の数が急激に増え、さらにたくさんの多国籍企業が外国に本部を置くようになると、そうした異議申し立てが深刻な損害を与えるのは時間の問題となるだけです。米国の法体系を複雑で不必要な代案に置き換えるのは何も間違っていないという想定ですが、実際にはそれはひどい考え方です。
 それは党派対立の問題ではありません。米国の主権を信じている保守派は、ISD条項が私たちの憲法由来の権威を、米国の法廷から責任を負わない国際法廷へと変換させようとしている事に怒るべきです。進歩派もISD条項に反対するべきです。それが大多国籍企業に、労働と環境の規制を弱めさせるからです。
 外国企業に特別な権利を与えて、私たちの法体系外にあって、私たちの法に異議申し立てをさせるのはひどい取り決めです。もし最終的なTPPの合意が投資家対国家の紛争処理を含めるなら、唯一の勝利者多国籍企業となるでしょう。
 *米国は今このTPP成立の為、オバマ大統領にTPA(貿易優先権限)を与えようとしています。同じ民主党のウオーレンが反対して、オバマに噛み付いています。ウオーレンが心配しているのが、特にこのISD条項です。これだけとっても、私たち日本人もTPPに反対しないととんでもない事になります。