ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

葛尾村はなぜ避難指示解除を急ぐのか

 「主に私は身を避ける。どうして、あなたたちは私のたましいに言うのか。『鳥のように、おまえたちの山に飛んで行け』」(詩11:1)。
 2016年4月12日の福島民報は、「6月12日避難指示解除正式提示 葛尾村」との見出しで記事を載せていました。
 葛尾村はホームページによると「阿武隈山系に属し双葉郡の北部に位置し、北東に浪江町、北西に二本松市、西南に田村市と界し…」とあります。
 福島第一原発から国道288号を西に進み、途中から飯館方面に向かう399号を北上して着きますが、通常約1時間、およそ36キロの所にあります。左画像は復興庁ホームページを参照して、一部書き換えました。

 福島原発から半径20キロ圏内が避難指示区域になりましたが、圏外では放射線量が高かった葛尾村も避難指示区域に指定されていました。
 その葛尾村ですが、2013年「3月に村北東部の野行地区が帰還困難区域、隣接する広谷地、岩角両地区の一部が居住制限区域、その他の地区が避難指示解除準備区域にそれぞれ再編された」と福島民報にありました。かつての南相馬市を思い出させる3区分でした。そこでは賠償金を巡り、骨肉の争いがありました。「お金」を巡る住民同士のいがみ合いです。

 右画像はminyu-netを参照し、一部書き換えました。
 ちなみに4月4日現在帰還困難区域33世帯118人、居住制限区域21世帯62人、避難指示解除準備区域397世帯1290人となっています。
 今回政府が提示したのは、帰還困難区域を除き、居住制限区域と避難指示解除準備区域を一気に避難指示解除とすることです。特に居住制限区域を解除するのは前例がないそうです。21世帯の方々の苦難は極めて大きなものがあると想像します。
 葛尾村の現状はどうでしょうか?
 政府側は1商工会による食料品の宅配サービスが開設される事、2宿泊交流館「せせらぎ荘」が再開する事で「生活環境が整う」からと言いますが、4月8日の福島民報では1診療所の再開がまだ無い、2食料品店がまだ一つもないという、生活の為に非常に大切な基盤が整備されていない事を指摘しています。
 これでは松本充秀村長が「村民が安心できる環境を順次整えていく」と言っても、納得出来ないでしょう。
 少子高齢化社会の中で、診療所がなく、介護施設もなく、スーパーもなければ、6月12日に避難指示解除になっても、村外避難者たちはとても不安に思うはずです。むしろ現段階では帰らないという人の数が圧倒的に多いはずです。4月5日の毎日新聞に載った岩間政金さん(「ほかの土地じゃダメなんだ。自分で切り開いた場所がいいんだ」)などは、例外だと思います。
 政府は生活の為に必須のものを整えず、「…わたしの民の傷を手軽にいやし、平安がないのに、『平安だ、平安だ』と言っている」(エレミヤ6:14)ようなものです。政府がてこ入れしなくて、どうして再建が順調に進むでしょう。「葛尾村総合戦略」(http://www.katsurao.org/uploaded/attachment/1356.pdf)を見ても、検討・取り組みなどといった無味乾燥な言葉の羅列が続いています。
 なぜ政府は急ぐのでしょうか?理由はいろいろあるでしょうが、本音は月刊Wedgeの大江紀洋氏が代弁しています。「原発賠償は終わりにしよう」(http://www.sankei.com/premium/news/150503/prm1505030022-n1.html)。
 そうなれば安倍政権としても、福島を切り捨て東京五輪に注意を集中させる事が出来るでしょう。とにかく五輪で国威を発揚させようと目論む政権にとって、賠償問題が長引くと弁慶の泣き所となってしまいます。