ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

津金昌一郎氏及び近藤誠氏(=甲状腺がんは放置して様子を見る)対、早期発見早期治療のその他医師

 「この女は多くの医者からひどいめに会わされて、自分の持ち物をみな使い果たしてしまったが、何のかいもなく、かえって悪くなる一方であった」(マルコ5:26)。
 先に『フクシマの真実と内部被曝』で著者小野俊一氏(http://onodekita.sblo.jp/)を紹介しましたが、小野医師はまた2015年11月19日のブログで、国立がんセンターの津金昌一郎予防・検診研究センター長の発言に噛み付いています。
画像は小野医師のブログから借用。
 津金医師の発言は福島では「がんが見つかってもすぐに治療せず、様子を見ることも検討すべきだ」というものでした。*2015年11月19日朝日新聞朝刊。私は閲覧出来ないので、他サイトも参照しながら、この発言間違いないと思います。小野医師によると、津金医師は小児甲状腺がん乃至疑いと判明した患者数が(最新情報で152人)日本全体の甲状腺がんの罹患(りかん)率と比較して異常に多いという趣旨の発言をしています。しかし津金医師は「放射線の影響で過剰にがんが発生しているのではなく、「過剰診断」(*将来的に症状が現れたり命を脅かしたりすることのないがんを診断で見つけてしまうこと)による『多発』とみるのが合理的だ」と考えています。だから「がんが見つかってもすぐに治療せず、様子を見ることも検討すべきだ」という事になります。
 しかしこの過剰診断とスクリーニング(*臨床検査)とはどう違うのか疑問を持ったジャーナリストで工学博士のまさのあつこ氏が、直接津金医師に尋ねてみたら(http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20151210-00052304/)、過剰診断は「狭い意味でのスクリーニング効果」との答えが返って来ました。さらに追求されると、現在の統計からの推定に過ぎなかった事を告白したので、まさの氏は「患者を診ることも、病理診断を検討することもなく、これまでの科学的知見(統計)からの「科学的」な逆算で、過剰発生か過剰診断を考察したというのである」と、津金医師をばっさり。
 津金医師は今年1月1日付けで組織改編された国立がんセンター「社会と健康研究センター」長に就任しています。そこでのあいさつ(http://www.ncc.go.jp/jp/cpub/about/greeting.html)では、「社会と健康研究センターは、従来のがんの予防・早期発見(検診)に加え、がん患者・サバイバーへの支援、支持療法やがん対策などを組入れ、社会的、経済的、倫理的な諸問題などに関する研究を実施することにより、国民生活の質の向上、格差の解消と健康の維持・増進に資することを使命としています」と述べています。この挨拶と冒頭の「がんが見つかってもすぐに治療せず、様子を見ることも検討すべきだ」というのは、確かに小野医師が矛盾していると指摘している通りです。
 しかし小野医師はそれら一連の発言が「これは、まさしく『近藤誠』理論」であると指摘しています。
画像は近藤氏の外来ホームページより借用(http://www.kondo-makoto.com/
 そこで近藤誠氏の最新著作『がん治療の95%は間違い』(*これは慶応大学放射線科退職後、渋谷で「近藤誠セカンドオピニオン外来」を始めてから、多数の患者に対して回答したものを集成しています)を読みました。
 分かったのは近藤氏も津金氏も慶応大学出身ですが、臨床医としてのキャリアの圧倒的な差です。持論は早期発見、早期治療は意味がない、なぜなら一例として「検診により甲状腺がんの早期発見は15倍に増えたが、死亡率は変化な」いからというものです。そこで同じ医師であっても、意見が真っ二つに分かれてしまうのですが、「あとがき」で近藤医師は「僕はがんに関するケースのほぼすべてで、新たに下調べをすることなく、相談に応えることができます。これはおそらく世界でも唯一人でしょう」と自負していますし、今刻々変化するがん治療の分野では、「今も毎朝5時前から医学論文を読みこんで、日々知識を更新しています」とも言っています。
 私はこの本を数回読んで、各がんでセカンドオピニオン外来を訪れた患者さんとの対話では、豊富な臨床例を持ち出し、並みの医師をばっさばっさと切る近藤氏には、素人としてうかつにモノは言えない事を悟りました。臨床経験の長さ豊富さでは、津金医師も小野医師も太刀打ち出来ないと確信しました。
 有名ななのは「がんとがんもどき」説ですが、もし真正のがんなら、幾ら早期に発見しても、その時点で他の箇所に転移しており、治療の為に外科的手術を施せば、却ってがん細胞を爆発的に増加させることもあるので、放置して様子を見るのが一番良いというのは説得力がありました。
 福島の子どもの甲状腺がん(乳頭状腺がん)ですが、「超音波で見つかる乳頭状腺がんは、無害な潜在がんなのです福島原発事故のあと、子どもの甲状腺がんが多数発見されていることが報じられていますが、事故後まだ数年しかたっていないので、かりに被ばくで発がんするとしても、そんなに早く発見できる大きさになるはずがない。これらも無害性の潜在がんでしょう。子どもの検査もしないほうがいいんですよ」と言い切っています。もし本物のがんなら、早期に転移しており、死亡数は昔と変わらぬ300人台だそうです。とにかくがんもどきだけが15倍に増えたという事です。しかも外科的治療を受ければ、「その11%が副甲状腺ホルモンという重要なホルモンが出なくなって、一生薬づけ」になってしまいます。
 誤解しない為に一言。近藤氏は福島原発での被ばくでのがん発生を否定してはいません。3月8日の県民健康調査検討委座長の星北斗氏などは、「(事故による)放射線の影響とは考えにくい」との見解を改めて示しました。でも従来より一歩踏み込んで「影響が全くない、疑いがないと言うつもりはない」と述べました。微妙な変化です。
 とはいえ、近藤氏対圧倒的多数のその他医師(=早期発見、早期治療)ですから、福島で甲状腺がんとされた子を持つ親の苦悩は深いです。「311甲状腺がん家族の会」というのが、2016年3月12日発足しました。代表世話人に河合弘之弁護士がなっています。
 私は現時点で素人としてこうだああだと言える立場にありませんが、ここに引用しなかった他の医師の意見も含め、全体的には、福島原発甲状腺がんとの因果関係は、もう少しすれば「あり」との結論になるのではないかと推測しています。ただ早期発見・早期治療については、本物のがんなら、自分の過去6回の手術体験からしても、治療は止めるべきではないかと考えました。それは「死」に直結するので、自分の信じるキリスト教信仰、及び他の宗教信仰といった宗教の分野に一歩踏み込まなければ、真の解決はないと考えました。皆様の率直なご意見をお聞かせ下さい。