福島県の人口11万余減少、いわき市は県トップの35万に増加
「それで、神はノアと、その息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地に満ちよ」(創世9:1)。
2016年10月27日の福島民報を見ると、「県人口191万4039人 震災前より11万5025人減」とありました。総務省の発表で、原発事故以来初の国勢調査確定値です。
左図はサイトより一部改変。
事故の前の調査より11万余の減少です。減少率は秋田県に次ぎ、全国で2番目に高かったそうです。
その原因は勿論原発事故により放射能を心配して、県外に避難した人々の多かった事がまず挙げられますが、その他はどの都道府県でも見られる少子高齢化も要因とありました。
ちなみに県内の15歳未満の子どもの数を考えてみると、22万8887人で前回より4万7182人も減っています。
現段階で全域が避難区域となっているのは、富岡、大熊、双葉、浪江、飯舘の5町村ですが、調査当時は葛尾村も含まれており(一部帰還困難区域あり)、勿論減少率は100パーセントかそれに近い値です。
こうした市町村を除くと、一番人口減少がひどいのは楢葉町(昨年9月避難指示解除)で、87.3%となり全国でトップです。現在の楢葉町のホームページでは、11月1日時点で男3,609人、女3,704人、全人口の10パーセントほどです。次いで川内村、広野町、南相馬市と続きます。
松戸の時出会ったのが、この南相馬市から県外に避難した人々です。賠償金圏外で、来年3月には住宅支援が打ち切りになります。これは深刻で、安い住宅確保の為奔走しています。
一方市町村で人口が増えたのは、トップの西郷村を除くと、三大市ではいわき市がトップの2.3パーセント増で福島市の0.6パーセントを凌ぎます。意外だったのが、郡山市で1パーセント減少でした。それで総人口を見ると、いわき市がトップで35万0237人、郡山市33万5444人、県庁のある福島市は29万4247人でした。
浜通りのいわき市が一番人口流入が多い事が統計からよく分かりました。中通りの福島市や郡山市はいまだ放射線量の事が気になっているのでしょう。私が少し居た郡山市では、確かに駅前は立派な商都の風格がありましたが、気候がよく原発から一番離れているいわき市に移住しようとする人が多いのは実感です。勿来町の駅周辺は寂れたままですが、少し離れると随分住宅が建っています。不動産のチラシも一杯入って来ます。ただ清水市政となると、地元の人に訊いてもあまり人気はありません。庶民に対する暖かい配慮が少ないです。求人は多いのに、最低賃金が低目という話も聞きます。
上記の帰還困難区域の教会員の大半はいわきに移り、そこを終の住処としています。ただ避難指示解除が来年予定されている、富岡・浪江出身の方々は複雑な気持ちです。介護世代で親を介護している場合、その親はしきりに出身地に帰りたがっているからです。写真右はいわき市の新興住宅街。
原発事故のもたらした悲喜交交の様子を、こうした統計面でも探ってみました。