ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

東電事故初の刑事裁判真実は究明されるか

 「だから、彼らを恐れてはいけません。おおわれているもので、現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはありません」(マタイ10:26)。
 2017年6月30日東電原発事故から6年数ヶ月経過したところで、刑事裁判としては初めて、業務上過失致死傷罪で強制起訴された、勝俣元会長、武黒元副社長、武藤栄元副社長の初公判が開かれました。3人共「大津波を予見するのは不可能だった」と述べて無罪を主張しました。画像右は勝俣元会長。

 一方民事裁判では、2017年3月に出された地裁判決で「東電は巨大津波を予測出来た」と、国と東電の責任を認めました。
 一審で示された民事訴訟と今回の刑事訴訟ですが、福島民報によると、「一般に刑事裁判では民事裁判より厳格で具体的な証拠の裏付けが求められる」とあって、裁判は長期化し、3人があまりに明確に津波は予見出来ず、従って刑事責任はないと答えた為、本当に無罪になる可能性は高そうです。東電挙げての証拠隠し、証言封じ、情報無提供など、今でも続いている「安全文化」「安全文化とは、『原子力施設の安全性の問題が、すべてに優先するものとして、その重要性にふさわしい注意が払われること』が実現されている組織・個人における姿勢・特性(ありよう)を集約したものーネットでのある定義から」を考えると、本来の安全文化は全く形骸化し、その対極にある東電独自の言葉の定義があるのでしょう。

 そこでかくも組織・個人をそうした信仰に導いているのか、2014年11月発行の岩波新書原発と大津波 警告を葬った人々』(添田孝史著)から勉強してみました。
 この本まるで推理小説のように面白かったです。至る所付箋だらけとなり、要約するにも余白がありません。
 添田氏が重視し、再三触れているのは、津波防災に関わる七省庁(国土庁農林水産省構造改善局、農林水産省水産庁運輸省気象庁建設省消防庁)が纏めた「太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査報告書」「地域防災計画における津波防災対策の手引き」=略して七省庁手引きです。1998年3月の事でした。
 それはこれまで一歩先んじていた「地震の科学」から、想定し得る最大規模の地震津波を計算し、「津波の科学」へと進化したのが大きく、この時点でまさに画期的なものだったようです。
 そのような津波地震福島第一原発近くで生じた場合、試算すると最大13.6メートル、実際に生じた津波高さは正確なところは不明にしても、一般に13メートルと言われています。かなり接近しています。
 一方東電が独自で計算していた経緯を見ると、2002年で最大5.7メートル、2008年で最大15.7メートルだったそうです。
 さらに七省庁手引きに関与した複数の教授らは、津波数値解析には2倍の誤差があり得ると発言しました。
 それらを日本全国の原発に適用すると、福島第一原発は勿論、多くの原発津波高さは、敷地高さ、また屋外ポンプ高さを超えるのだそうです。
 こうした七省庁手引きは、添田氏の言葉を借りると、電力会社にとっては「とても都合の悪いものだった」のです。特に東電の福島第一原発は、全国で最も津波に対する余裕のないものでした。2002年の東電予測5.7メートルでさえ、非常用海水ポンプ電動機の余裕は僅か3センチだったそうです。
 以後東電をはじめとする電力会社はこの不都合な七省庁手引きの抹殺に向けて、ありとあらゆる方法をもって動き出しました。そして3・11で破局を迎えた事になります。私がネットで調べてみても、その手引きを直接読む事が出来ません。関連するリンクは全て「機能しなくなりました」と出て来ます。試して見て下さい。
 この本には上記武藤、武黒氏の対応、勝俣氏の認識について、詳しくは無くても触れています。彼らの責任は大きいと思います。しかし彼らの公然たる無罪の主張の裏には、既に東電挙げての証拠隠し、抹消等々を完璧に行い、人の目から隠されているという確信があるのでしょう。
 こればかりは冒頭に挙げた聖書個所を語られた神イエス・キリストだけが真実を知っておられます。終わりの日に全てが明らかになり、彼らは神の基準で裁かれるでしょう。ですから裁判の進捗状況に一喜一憂などしません。前向きに神を信じ生きてゆきたいと思います。