東電会長トリチウム海上放出発言の波紋
「川はみな海に流れ込むが、海は満ちることがない。川は流れ込む所に、また流れる』(伝道1:7)。
2017年7月13日東電の川村隆会長は、マスコミのインタビューに答え、第一原発で出る放射性物質トリチウムを含んだ処理水を海に放出すると発言したそうです。
川村氏は日立の経営悪化を建て直した事で知られ、東大工学部出身で原子力にも詳しい人なので、東電との繋がりは深く、原発機器を東電に納入していました。東電会長就任での記者会見では、改革を実行し、原発は稼動を推進する旨を述べました。
ですから今回のトリチウム発言は、当然の事なのでしょう。
しかしいち早く反応したのは全国漁業協同組合連合会でした。理由は川村会長が地元漁協への相談もせず、唐突に東電の都合で「判断はもうしている」と述べた事です。
また原子力規制委員会の田中俊一委員長も、こうした手口に対して「はらわたが煮えくり返る」と言いました。理由は川村氏が田中氏の「国の基準値以下での海洋放出は安全上問題ない」との発言を引き合いに出したという事だそうです。
どうも反対の理由としては、今一つ分かりにくいです。私には「面子」の問題に見えました。
なぜかと言えば、トリチウムの海洋放出は2011年の原発事故以前から行なわれており、2015年原子力規制委は、規制基準を満足する形での海洋放出を、2017年以降の目標として謳っており、福島の漁連もそうした経緯は承知していたと思っていました。
しかしそれは誤りだったようです。県漁連は汚染前の地下水をくみ上げ、海に放出する方法だけ認めていたので、汚染水を薄めて海洋に放出するという国や東電の考え方に猛反発したのです。
いまだ試験操業段階でもあり、希釈した汚染水を大量に福島沖に流せば、かなりのマイナスイメージになると予測されます。風評被害と相俟って、県の漁業は壊滅的打撃を受けるでしょう。
でも事の本質はトリチウムという放射性物質そのものにあると確信します。これは以前書いた事がありますが、三重水素として現代の技術では水と分離出来ません。だから東電は第一原発構内の大型タンクに、それを大量に含む汚染水を溜め続けています。燃料棒が破壊されると外に出てしまいますが、現段階でそれを回収するすべはなく、ひたすら水で冷やすしかありません。冷やせば汚染水が出ます。またその半減期は約12年です。
要するにもう溜めるのは限界に近づいており、最終的には海への放出をせざるを得ないのす。東電の判断はそう決まっている筈です。川村会長は言葉の表現がまずく誤解を与えたと陳謝していますが、発言そのものの撤回はしませんでした。本音なのに世間が騒ぐから、今は我慢、もう少ししたら放出というところでしょう。「科学的安全性に関して、国の基準通りなら安全だと判断している」と言っています。他の原発でも海洋放出はしており、科学的に見て安全だと、一介の人間に過ぎない者が断言出来るのでしょうか?全知全能の神の目から見れば虫けらに等しい人間が、放射能を扱うなんて、到底容認されないでしょう。聖書で神が繰り返し述べている高慢のきわみです。
一刻も早く全原発を廃炉にし、トリチウム処分で世界の英知を集めて考えてゆくほかないと思います。
「愚か者は心の中で、『神はいない』と言っている。彼らは腐っており、忌まわしい事を行っている。善を行う者はいない」(詩14:1)。
この問題でも私はくよくよしません。愚か者の処分は全て神に委ねたからです。最後に神が正されます。