ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

いわき市勿来町酒井の復興公営住宅

 「…彼は二度と、帰って、故郷を見ることがない」(エレミヤ22:10)。
 2回にわたり双葉町の現状を考えて来ました。特にいわき市南台の仮設住宅に住む方々は、これからどうなるのかという懸念を抱いていました。
 いわき市福島県でも福島市郡山市と並んで、県内有数の都市です。そして福島第一原発事故に伴う放射能の拡散も絶対安全とは言えませんが(いわき市北端から第一原発まで約25キロという近さ)、相対的には線量が低いので(http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000004183/index.html)、帰還困難区域を含む双葉郡の住民が多く移住して来ました。私は中部から南は結構歩いているので、若い世代の多い新興住宅が目立つのが分かります。ネットの情報では双葉郡から約2万4千人は移住しています。

 そこでいわき市としては災害復興公営住宅として最大の勿来酒井団地を造成すべく、昨年4月から工事に着手し始めました。大震災から5年後の事です。蛭田川(びんだがわと読みます)の低地、田畑が広がる所です。
 計画では鉄筋コンクリートによる共同住宅、木造のテラスハウス、戸建ての住宅、全180戸が出来る予定です。私の訪問時では長い囲いが続き重機による造成が進行中で、一般の人は入れず、その全体像を掴む事は出来ませんでした。特筆すべきは、これまで見て来たいわき市の災害公営住宅では、集会所などの施設以外何も無かったのに、今度は商業施設、高齢者サポート施設、診療所が出来る事です。この商業施設に双葉町でスーパー「ブイチェーンマルマサ店」を経営していて、いわき市南台の仮設に移っていた松本正道さんも、仮設の方々と一緒に移る予定です。

 この一目でわかる復興公営住宅ですが、これまで仮設でお金がかからなかった方々でも、家賃が発生します。いわき市では独自の制度があり、全所得階層で3年間は50パーセント減免となっています。
 ちなみに4人家族、父親だけ働いて給与を得ている場合、年収188万円までは、減免制度利用で4,600円です。
 単身の高齢者の場合は訊いてみないと分かりませんが、年金が低いとその程度の家賃でもきついと言う人はいるはずと見ています。私が心配しているのはその事です。南台の仮設では、残っている30パーセントの方々、だいたい高齢で単身者と推定していますが、帰還困難区域からの避難なので、うまく補償金など利用すれば住宅が購入出来ます。対象家族が多いほど有利ですが、最初から一人暮らしだった人はどうでしょうか?
 それにこれまで見て来た同じような団地で、人が各階で外に出て世間話をしているのを、全くと言ってよいほど見ていません。7年目にしてやっと入れた団地としても、孤独のまま過ごす人が多くなるのでしょうか?南台では勧誘やチラシが厳禁でした。また私の家から一番近い団地でも、チラシは駄目でした。
 何だか考えていると希望が見えなくなります。
 一方で「苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました」(詩119:71)と証する双葉郡出身の信徒は多くいます。伺ってみても、この苦難は震災当時全く尋常ではありませんでした。飢えと寒さ、転々とした住まいの移動等々。あの日都会に住むわがマンションでは、せいぜいエレベーターが止って不便したくらい。比べものになりませんでした。しかし神のおきては「平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与える」もので、私の知っている教会員の方々は、震災の記憶は鮮明に残るものの、平安と希望を持って1歩前進しています。
 苦しみの経験をどう生かしてゆくか、豊かな生活に転化してゆけるのか、震災から7年になろうとしている今、被災者にも支援する者にもそれが問われていると考えます。