ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

浜通りのイノベ構想はきっと挫折する

 「また、人は新しいぶどう酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。そんなことをすれば、皮袋は裂けて、ぶどう酒が流れ出てしまい、皮袋もだめになってしまいます。新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れれば、両方とも保ちます。」(マタイ9:17)。
 イノベーションという英語は、普通「革新、新機軸」などと訳される。コーストは「沿岸、海岸」である。するとイノベーション・コーストとは、「革新的な海岸」という事になるか。一体何の事だろうと、庶民は思う。
 この言葉を東日本大震災で壊滅した福島県浜通りに使おうと思ったのは、おそらく経済産業省の官僚だろう。誰にも分からない言葉を平気で口に出して、福島県人を煙に巻くのを東大話法と言う(=わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する)。
 経済産業省福島県と協同でその構想を纏めたが、それは「東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するため、当該地域の新たな産業基盤の構築を目指すもの」となっている。その解説は何とか分かるが、このカタカナ語の定義は「福島・国際研究産業都市」なんだそうである。つまり革新的な海岸を換骨奪胎すると、その定義になる。しかし何で「国際研究」という言葉が挿入されているのか?
 福島県浜通りを革新的に変えるには、国際的な研究が必要なのだそうである。
 幾つか挙げられているが、「廃炉研究」「ロボット関連新規プロジェクト」「再生可能エネルギー」等々、各市町村別に、巨大な産業の構築が謳われている。(http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu/committee/innovation/coast/2017/pdf/170211_01e.pdf)参照。

 トップに掲げた「廃炉研究」だが、富岡町に昨年4月出来た「JAEA廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟」は、以前ふたば医療センター附属病院の駐車場と間違えて車を置いた事がある。中に研究者は居るのだろうが、駐車場入り口に警備員詰め所のようなものは無かった。この看板の下半分は英語である。decommision=廃炉の英語が出て来る。それも「高度な」という形容詞がついている。建設費はおよそ15億円。巨大プロジェクトである。
 メンバーを見ても、原子力関係では3・11当時内閣府原子力委員会委員長だった近藤駿介氏ら天下りが散見され、東大・京大・阪大、名大などの教授、民間からは三菱、日立、清水建設大成建設など、外国からは米・英・仏などの原子力専門家たち、錚々たるメンバーが有識者として名を連ねている。
 およそ普通の福島県人が入り込む余地はない。10月20日の朝日新聞を見ても、「イノベ構想への県民の関心は低い」。当たり前だ。メンバーからは「お前ら何しに来た」と言われるだろう。さらに朝日は「県民の心が離れてしまっては、この構想に魂は入らない」と続けたが、私なら「この構想は必ず失敗する」である。
 15億円のお金があれば、被害に遭った福島県人を救う道は多く出る。惨事便乗型資本主義者たちは、決してそのような事にお金を出さない。
 原発で好いようにされた福島県人は、今度はイノベ構想で中央からの官僚・学者・大企業・国際研究者たちによってそうされる。大震災当時そんな事考えても見なかった。