双葉郡視察の旅4
「もし彼らが思っていたのが、出て来た故郷だったなら、帰る機会はあったでしょう。しかし実際には、彼らが憧れていたのは、もっと良い故郷、すなわち天の故郷でした。ですから神は、彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。神が彼らのために都を用意されたのです」(へブル11:15-16)。
双葉郡視察の旅4では、前日取り残した場所を視察に行った。
鹿島区に住んでいる友人に訊いて、原町区萱浜にあるロボットテストフィールドを見て来た。以前海岸のほうから近づこうとしたら、工事中で迂回させられ、見る事が出来なかった。
今回は宿から常磐線を跨ぐ形で国道6号に出て、市立病院の信号の所を左折し、真っすぐそこへ向かう形になった。それは分かりやすかったが、高台から海のほうに降りていった場所で、又もや工事中、建物のあるところまで行く事が出来なかった。
写真は一番奥が海で、手前右手の高い建物(6階建て)が「試験用プラント」らしい。この位置からテストフィールドは見られない。
この施設は国からの援助を受けて県が整備した、いわゆるイノベーション・コーストの一部である。ドローンによる放射線分布3D視覚化技術等々も開発中(この施設ではなさそう)で、優れたものが生み出されているのは事実だ。ここの研究棟にはこれから技術者たちが入居する。しかしこの萱浜地区は、津波で壊滅的打撃を受けた事を忘れてはならない。そこではもはや農家の営みは出来ず、災害便乗型資本主義の典型と言える。
そこから再び6号に戻って南下し、前日の大熊町中央台交差点からではなく、さらに南、富岡町のインターに向かう交差点を右折し、進入禁止の夜の森地区を後目に、インターのすぐ先にある交差点に入った。そこに県道35号線があって、自由に走る事の出来るようになった。この通称いわき浪江線を右折し、北に向かうと、一部指定解除になった大熊町大川原地区が目に入って来る。すぐにオープンしたばかりの大熊町役場の黒っぽい建物に着いた。
2階建てで、高層の浪江町役場とは対照的に簡素である。休日なので中に入る事は出来なかった。道沿いにはきれいな花壇も見える。
指定解除はこの大川原地区だけだが、除染も進んで明るい雰囲気だった。役場を中心に、これからいろいろな建物が建つ。役場の道をまっすぐ進むと大熊インターにぶつかるが、その手前に復興公営住宅が見えた。もうすぐオープンなので、工事が急ピッチで進んでいた。
ここはとにかく、周辺はまだ帰還困難で、線量も高く、この住宅に入居する人は、再度農業に挑戦する高齢の方々などに限定されるだろう。ここから北東2~3キロのところに、福島第一聖書バプテスト教会の建物がある(現在いわき市泉町で、私もそこに通う)。目と鼻の先と言ってもよいが、私は単独では決して入る事が出来ない。閉鎖中の大野病院からその方向に向いて、いつかその立派な教会堂が再開される事を祈って来る。
予定の個所は全て見たので、再び35号線に乗り、初めて6号を通らず、いわきの平まで一気に走り、バイパスから帰宅した。ちょうど昼だった。
今回も「百聞は一見に如かず」で、随分いろいろな事を学んで来た。このブログ公開の翌日は、また双葉郡視察の旅に出る。体調を崩した事もあり、休養を兼ねている。一番身体のふらつく台所仕事から解放され、美味しいものが食べられるのを、何よりも楽しみにしている。