ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ビタミンB12とがんとの闘い

 2012年10月8日のサイエンスデイリサイトでは、「科学者たちはビタミンの変異体が、がんと闘えるかも知れない」といった題の論文を紹介していました。英国ケント大学の研究チームの成果です。
 ビタミンB12と言いますと、まず私自身の事を思ってしまいます。即ち私はマロリー・ワイス氏病という食道裂傷で胃を全摘しているので、このビタミンが吸収出来ず、現在筋肉注射で補っていますが、もし放っておくとビタミンB12欠乏巨赤芽球性貧血になってしまい、赤血球が正常に生み出されず、その前段階としての巨大化した赤芽球が産生されるのです。
 胃のある人の吸収の仕組みですが、食事で摂取したB12は、胃壁細胞によって作られる糖タンパク質である内因子というものと結合し、回腸終端部の柔毛から腸上皮細胞に吸収されます。そして主として肝臓に蓄えられます。そのビタミンB12が葉酸と協力して、骨髄で赤血球を作るわけです。
 今回のケント大学のチームは、合成生物学の新しい分野の技術を駆使して、バクテリア内部でビタミンを作る為、分子機械のベルトコンベヤー(*運搬機)を設計しました。その組み立てラインの長さを変える事で、ビタミンがどのように作られるかを解明する事が出来たのです。

 画像はhttp://www.phy.ntnu.edu.tw/ntnujava/index.php?topic=288.0から拝借。
 さらに研究者たちは、このベルコンの分子機械の幾つかを改造し、作られるビタミンの形態も変える事が出来ました。

 右図は分子機械の一例。この新しいビタミンの変異体が、がんのような病気の治療の為の新しい薬として役立つのではないかと、研究者たちは考えているわけです。
 ちなみにビタミンB12はバクテリアが産生し、植物の中には存在しません。ですから世界の菜食主義者たちは、ビタミン欠乏になる危険を抱える事になります。これを多く含む食品としては、シジミ、アサリ、牛レバーなどがあります。
 しかしビタミンB12の過剰な摂取も問題です。がん細胞は普通の細胞の100倍のビタミンB12を吸収する特性があるそうです。それで放射性コバルトを組み込んだビタミンB12を経口で摂取させると、がん細胞は専らB12を吸収するので、コバルトの放射線がガン細胞を内部から破壊するといった形の治療法もあるからです。内部被ばくのような形です。
 こうした事を考えていると、実に次の事を思わないわけにはゆきません。
 「ああ、神の知恵と知識との富は、何と底知れず深いことでしょう。そのさばきは、何と知り尽くしがたく、その道は、何と測り知りがたいことでしょう」(ローマ11:33)。